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[MOM1579]名古屋U18FW森晃太(3年)_全3得点に絡む活躍、まさにエースの仕事で決勝導く

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.7 Jユースカップ準決勝 名古屋U18 3-3(PK4-2)F東京U-18 味スタ西]

「ウチのエースですから」

 高田哲也監督は何とも誇らしげにそんな言葉を漏らしたが、Jユースカップ準決勝を実際に目撃した人であれば、この発言を「親バカ」などとは言うまい。名古屋グランパスU18の3得点すべてに絡んだFW森晃太を、「エース」と言わずに何と呼ぶのか。

 試合はまさに一進一退だった。「入れられて入れて、入れてもまた入れられて……」(森)。F東京U-18にセットプレーから先制弾を浴びながらも、森のシュートのこぼれ球をMF深堀隼平が押し込む形で同点に追い付いた。後半7分にはショートカウンターから会心のドリブルシュートを森が突き刺して逆転に成功する。

「正直に言えば、残り10分くらいから『このまま逃げ切ろう』という感じだった」のも当然の試合展開だろう。だが、まさかの終了間際に同点弾を浴びてしまう。「あれはメンタルに来ました」と苦笑いを浮かべるとおりに気落ちした名古屋は、延長前半1分にも被弾。まさかの逆転を許してしまう最悪の流れに陥った。

「FC東京は気持ちも強かったし、球際もホントに強かった」という相手に対して、森は封じ込まれている時間も長かった。だが、それでもワンチャンスを狙い続けられるのがエースのエースたるゆえんだろう。「仲間を信じていたので」という主将の思いが実ったのは、延長後半1分。キックオフと同時に前へと走ってから生まれたプレーだった。

 後方から蹴り込まれたのはハイボール。「(吹ヶ)徳喜が前に上がっていて、アイツは競り合いに本当に強い。きっとこぼれてくると思っていた」。吹ケが競り勝ち、そのボールをMF杉田将宏がワンタッチで流す。「あとは蹴り込むだけでした」と言うが、浮いたパスを胸トラップでコントロールし、素早く右足で叩いた一連の流れは「蹴り込むだけ」ではあるまい。ゴールネットが激しく揺れて、エースの一発が試合を振り出しに戻すこととなった。

 これで得点ランキングでも首位に立ったが、「チームの勝利が一番」と一笑に付した上で、「『みんなで長居に行って優勝するんだ』と言ってきたし、個人(タイトル)が付いてくればいいけれど、(チーム内で得点王を争う)深堀が決めて勝てるなら、それでもういいんです」と締めくくった。名古屋のエースが決勝で考えるのは、「チーム全員で勝つ」というシンプルな目標だけだ。

(取材・文 川端暁彦)
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