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[MOM1581]尚志FW小野寛之(3年)_課題残すも見せた“エースらしいプレー”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.7 全国高校選手権福島県予選決勝 尚志高 1-1(PK5-3)学法石川高 西部サッカー場]

 苦しいとき、うまくいかないとき、それでもチームを勝利に導くのがエースの仕事だ。先制したものの追加点を奪えず、同点に追いつかれて苦しんだ試合はPK戦にもつれ込んだ。GKが1本止めて迎えた5人目。決めれば勝利が決まる場面でペナルティスポットに向かったのは、尚志高のエース、小野寛之だった。相手GKが警告を受けてでも動揺を誘おうと目の前に近付いて威嚇してきたが、動じることなく見事に決めてみせた。

 仲村浩二監督は「PKは順番も何も決めずに任せた。エースが5番目に来るのか、そこで決め切ったというのも成長だなと思う。あいつの1年の頑張りが出たのかなと思う」と目を細めた。ゴールが決まり、スタンドに向かおうとした小野だったが、急速にスピードが落ちた。足をひきずっていた。足をつっていた。

「試合中からヤバイと思っていて、伸ばしながらやっていた。これまでも何度か足をつってしまったことがあるので、つりそうだというのは分かった。ここでつってしまったらチームに迷惑がかかると思っていたので、いろいろと工夫していた。PKを蹴るときもつるのは分かっていたので、順番を待つ間はずっと足踏みをしてつらないようにしていた。最後は気持ちで蹴りました」

 ギリギリの、しかし、渾身のPKだった。

 試合中は前半から鋭い抜け出しを連発し、先制点は小野と相手GKが競り合ったこぼれ球を味方が決めたものだった。その後も足下で受けて仕掛けたり、裏へ飛び出したりとゴールへ襲いかかった。仲村監督は「スローダウンするところと仕掛けるところを使い分けていて良かった。1人だけ見えている世界が違ったんじゃないか」と評価した。相手の守備に苦しめられた終盤も、小野は突破口を切り開こうと果敢に挑み続けていた。しかし、何度も得点機がありながら追加点を奪えなかった点は、課題だ。

 小野は「前半は自分たちの狙いが出せていたが、相手に粘られてワンチャンスを物にされた。自分がチャンスで決めていれば、こういう展開にはならなかったのにと思っていたので、最後まで絶対に自分が取ってやろう、形になるまでやり続けようと思った。でも、今日はチームで1点しか取れなかった。最後のところで課題がある。いかにしてこじ開けるか。プレミアリーグの参入戦も、選手権の全国大会も、もっと強い相手がいるので、そこで自分たちのやりたいことをできるか。意識してやっていきたい。個人的にもまだ判断の部分が拙いし、ドリブルでもボールロストが多い。決定力も改善しないといけない。言っても口だけになってしまう。形にするために練習したい」と反省を口にした。

 確かに、課題は残った。しかし、エースらしいプレーを見せた一戦でもあった。尚志が全国の舞台で輝くためには、この男はやはり欠かせない。

(取材・文 平野貴也)
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