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[選手権予選]PK戦10人目までもつれ込む死闘の末、桐生一に勝利!前橋育英が全国へ!!:群馬

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[11.8 全国高校選手権群馬県予選決勝 桐生一高 2-2(PK9-10)前橋育英高 正田スタ]

 11月8日、正田醤油スタジアムにて第94回全国高校サッカー選手権群馬県予選決勝が行われ、2-2から双方10人が蹴り合うPK戦までもつれ込む大熱戦の末に、昨年度全国準優勝の前橋育英高が2年連続での選手権出場を決めた。

 群馬のライバル対決となったこの試合。先手を取ったのは前橋育英だった。前半14分、尾ノ上幸生の右CKからMF金子拓郎がヘッド。これがFW横澤航平をかすめてゴールイン。この1点で群馬のタイガー軍団は勢いを得た。「本当は前半でもっと行きたかったんだけれど、行けなくなった」と桐生一高・田野豪一監督が悔やんだように、この得点を機に前橋育英が主導権を握っていく。そして27分、横澤のパスから右サイドを破った佐藤誠司が折り返す。これは相手GKが懸命にクリアも、こぼれ球を拾った横澤が距離をつめてきた相手を巧みにかわして右足シュート。「落ち着いて決められた」という10番の一発が決まって、差は2点に広がった。

 桐生一にとっては何とも苦しい試合展開で、ハーフタイムへ。ここで田野監督は主将のDF一宮憲太を中盤に上げる形でフォーメーションを組み替えて後半に臨む。守備の要を前に出すのはリスクも伴うが、「今年は攻撃も守備も一宮におんぶに抱っこ。あいつを上げればボールが動くのはわかっていた」(田野監督)。さらに後半9分には負傷明けのFW今泉祐哉を投入。前橋育英・山田耕介監督も「(今泉は)パワフルでヘディングの強い選手。出てきたら嫌だなあと思っていた」と警戒していた男を前線に入れて勝負に出る。

 前半は1トップで悪戦苦闘のFW滝沢昴司が「味方との距離があって孤立してしまっていたけれど、(今泉との)2トップになって距離が良くなった」と振り返るように、この交代策はピタリとハマる。ターゲットになれる選手が2枚並んだことでシンプルなロングボールの効果が増した。滝沢昴と今泉は次々に頭で競り勝ち、前橋育英のディフェンスラインは徐々に後退。「押し上げられなくなってしまった」(山田監督)。

 そして24分、滝沢昴のスルーパスから左サイドを突破した今泉がヒールで戻したボールをDF堀越零王がシュート。これはDFがブロックしたが、このリバウンドボールは再び滝沢昴の足元へ。「下がスリッピーだったので」と狙ったグラウンダーのシュートは狙いどおりにピッチを転がり、ゴールネットを揺らした。さらに35分にはGK休石陸が蹴り込んだロングボールがDFと滝沢昴が競って、ディフェンスラインの後方へポトリ。ここに走り込んだ今泉はダイレクトボレーでこれに合わせ、GK頭上を破る形でゴールイン。桐生一が同点に追い付いた。

「2年前のことが頭をよぎりました」と苦笑いを浮かべたのは、前橋育英の山田監督。2年前の同カード決勝は2点のリードを奪いながら逆転されるという最悪の思い出である。その再現かと指揮官が戦慄する流れとなったが、「みんなで声を掛け合って耐えた」と金子が振り返り、尾ノ上が「メンバーに入れない3年のことを思って戦った」と言うように、前橋育英が精神的に切れることはなかった。試合はそのまま互いに譲らぬ展開となって、延長戦まで戦ってなお決着付かず。勝負はPK戦に委ねられた。

 熱戦のあとのPK戦はハイレベルだった。「育英さんは本当にキックが上手かった」と田野監督が脱帽するようにGKが読んでも止められないコースに蹴り続ける前橋育英に対し、桐生第一もGKの逆を巧みに突き続けてゴールネットを揺らし続ける。そして双方9人まで全員が成功し、10番手で明暗は分かれた。先攻・前橋育英FW馬場拓哉のシュートが決まったのに対して、後攻・桐生一GK休石のキックは、GK山岸健太に阻まれて、群馬のライバル決戦はその幕を下ろすこととなった。

「あいつが外すなら仕方ない。あいつがいなければここまで来られなかったんだから」と桐生一・田野監督。滝沢昴もまた、「誰も(休石を)責めないですよ。あいつがいなければ、僕らはとっくに負けていた」と、準々決勝で4本のPKセーブを見せるなどチームを支えてきた守護神をいたわった。

 一方、前橋育英・山田監督は「最後まで粘り強く、彼らの意地と気持ちで戦えた」ことを収穫に挙げつつ、「心臓に悪かった」と苦笑。群馬の名伯楽はその上で、「足りないところだらけ。また新しい1、2年が出てくる可能性もあるし、全国に向けてやっていきたい」と、ここからの2か月弱で少しでもチーム力を高めていくことを誓った。

(取材・文 川端暁彦)
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