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“左”で輝いた浦和MF関根…20歳のアタッカーが示した飽くなき向上心

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[11.11 天皇杯4回戦 町田 1-7 浦和 熊谷陸]

 持ち場が右から左へと移った。そこには、右サイドとは違う輝きを放つ浦和レッズMF関根貴大の姿があった。

 右アウトサイドのレギュラーとしてシーズンを送っている関根だが、この日は左アウトサイドで存在感を示す。「今日は自分の得意なドリブルを存分に発揮しようとしていました」と語ったように、タッチライン際でボールを受けると、縦へのドリブルだけでなく、中央への鋭い切り込みで相手守備陣を後手に回らせた。

 関根は“縦”と“中”をうまく使い分けられたと振り返る。「中だけだと自分でもリズムがつかめないし、相手にも中だけだと思われてしまいプレーが読まれやすくなってしまいます。縦も使うことで対面する相手も僕のプレーを読めなくなるので、駆け引きを意識していました」。

 そして、ドリブル突破から決定機を創出する。前半19分にはDF橋本和のパスを左サイドで受けると、一気にスピードアップ。ゴール前までボールを運びシュートまで持ち込んだものの、相手DFのブロックに遭ってしまう。しかし、勢いは止まらずに同29分にはMF青木拓矢からボールを呼び込んで、再び中央へと切れ込む。相手DFに圧力をかけて押し込むと、シュートコースを見つけ出して再び右足を振り抜いたが、ボールは相手GKの好セーブに阻まれてしまった。

 この試合、関根は2得点を記録した。前半アディショナルタイムには「完全に下げるなと思っていました」と相手DFのバックパスをかっさらってゴールを陥れ、後半アディショナルタイムには「自分自身としても気持ちの良いゴールでした」とCKの流れからミドルシュートを叩き込んだ。しかし、その表情は晴れない。それはなぜかというと、「ドリブルの流れからゴールを決められなかった」からだ。

「カットインの形は右ではあまり出せていなかったので、違いは見せられたかなと思います。でも、自分の中でイメージどおりに打てた2度のカットインからのシュートは、精度を欠いてしまいました。最後の精度を上げられれば、今日は少なからず3点は取れたと思います」。急成長を遂げる20歳のアタッカーは決して満足することなく、上だけを見て歩みを続ける。

(取材・文 折戸岳彦)
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