beacon

森重、かつての“相棒”槙野とのCB争いは「不思議だし、面白い」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 第2ステージ最終節を残し、年間順位で3位に浮上したFC東京。11年ぶりに復活したチャンピオンシップ出場に王手をかけるとともに、4シーズンぶりのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得にも近づいている。キャプテンとしてチームを引っ張るDF森重真人は、日本代表でもアルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ、バヒド・ハリルホジッチと監督が代わりながら完全に定着。ロシアW杯に向けたアジア2次予選を戦っている。残りわずかとなった今シーズン終盤への決意、日本代表への思いを聞いた。(※インタビューは11月3日時点)

―FC東京は残り2試合で年間4位に付け、チャンピオンシップ出場に手が届く位置にいます。(編集部注:現在は最終節を残して年間3位に付けている)
「これまでのFC東京の歴史の中でも一番成績が良いですし、その意味では悪くないと思います。でも、振り返ってみると、自分たちはまだまだだなと思った試合もありますし、今の順位にそれほど納得していないというか、もっとできたという気持ちのほうが強いですね」

―成績が安定しない時期もありましたが、どこに課題があったと思いますか?
「今年はメンバーの入れ替わりが多く、ケガ人も数多く出ました。その中でみんながしっかり戦っていると思いますし、前半戦と後半戦を比べて、メンバーが結構変わっています。そういう意味では、試行錯誤しながらシーズンを戦ってきたのかなと思います」

―個人的なプレーは安定していたように見えますが、自分の評価としてはいかがですか?
「個人的にはそんなに波はなかったかなと思います。得点も結果として残すことができましたし(編集部注:最終節を残して7ゴールを記録)、そういう意味では良いシーズンを送ることができているのかなと思います」

―失点はここまで32試合で33失点と、リーグ3位の数字です。昨季も34試合33失点で、ほぼ1試合1失点。これは素晴らしい数字だと思いますが、守備への手応えはいかがですか?
「守備のチームというか、守備をしっかりつくってきたチームなので、まずは失点しないところから入るというのが自分たちの、FC東京の色。1-0で勝つ試合が今年は多かったと思いますし、逆に打ち合いになったときはそんなに勝てていません。まずは失点しないことをチーム全体で意識できているからこそ、失点数が減っているのかなと思います。ディフェンスだけでなく、前線からどうやって守備をするのかということをやってきているので、その成果が出たのだと思います」

―昨季以上に自信が深まった部分もありますか?
「昨季まではまだ理解できていない部分があったので、監督の指示を待つこともありましたし、試合の中で修正することができない時期もありました。今はある程度、みんなで声を掛け合わなくても、“今はこういう時間帯だからこういうプレーをしよう”というのが分かってきています。自分たちの形というのが見えてきているからこそ、試合の中で修正できているのかなと思います」

―一方で上位の広島や浦和と比べ、得点数が少ない。攻撃面の課題はいかがですか? シーズン途中に抜けた武藤嘉紀選手の穴が大きかったのでしょうか?
「(武藤の移籍は)間違いなくチームにとってマイナスですし、あれだけ点を取っていた選手がいなくなって、マイナスだったことは間違いないです。でも、後半戦から新たに入ってきた(ネイサン・)バーンズだったり、サンダサだったり、前田遼一さんも第2ステージから点を取っていますし、そういう選手たちがしっかり結果を残してくれたことで、その穴は埋められたのかなと思います。

 もちろん、FW陣だけでなく、攻守両方ともチームとして考えなければいけません。失点が少なくて、得点もたくさん取るというのはどのチームも目指すところで、どちらかのバランスが崩れたら勝つことはできないですし、そのバランスというのがすごく重要だったのかなと感じています。そういう意味では、安定した戦いをするために、守備にリスクを負わないサッカー、一か八かというよりは、まずはそういうリスクを避けるサッカーをやってきている分、得点が少ないのかなと思いますし、チャンス自体も少ないと思います」

―チャンピオンシップへの思いを聞かせてください。
「みんなが一番欲しいタイトルは、チャンピオンシップの優勝。第1ステージ優勝でもないし、第2ステージ優勝でもないし、年間勝ち点1位でもない。チャンピオンシップに勝てば今年の頂点に立てるということで、チャンピオンシップに出られる、みんなが欲しがっているタイトルを獲れる位置にいます。そこは下を向く理由もないですし、モチベーションが下がることもないです。そこに向かって残りの試合も戦うという気持ちが大事かなと思います」

―年間3位に入れば来季のACL出場権も獲得できます。もう一度、アジアで戦いたいという気持ちはありますか?
「そうですね。クラブチームとして海外、アジアと戦うというのはすごく大きな経験ですし、もしかしたら日本代表で戦うよりも良い経験になっているかもしれません。(2012年に出場したときは)新鮮な気持ちというか、移動や日程が大変というのは聞いていましたが、それ以上に楽しさだったり、充実感のほうが大きかったので、もう一度あの舞台に行きたいという思いはあります。必ずあそこに行きたいなと思います」

―日本代表についてもうかがいます。森重選手はアギーレジャパンで唯一、全試合に先発した選手でしたが、ブラジルW杯が終わってからアジア杯までの半年間はどんな経験になりましたか?
「監督が代わって一からチームづくりをするという最初のタイミングから関わらせてもらって、クラブチームとは違ったチームづくりの難しさというのは感じましたし、今もそれを感じています。でも、日本代表で試合に出続けることで、いろいろ周りも変わってきますし、自分自身も変わっていくんだなと思いました。日本代表で試合に出続ける喜びを感じていたいなと思いましたし、すごく幸せなことなんだなと思いました」

―試合に出続けるためには良いパフォーマンスを続けないといけません。
「そういう緊張感の中でサッカーをすることはなかなかないですし、一つのミスが結果を大きく左右するので、責任感も全然違います。そういう中で得られる経験、自分の力になるものというのは、そこで戦ってみないと分からないことです。そういう経験をするためにも、今は本当にレギュラーを目指して頑張らないといけないなと思っています」

―ハリルホジッチ監督になってからの日本代表は正しい方向に進んでいると思いますか?
「アジアの中で日本の立ち位置というのが、今までとは少し変わってきたと感じています。A代表だけでなく、下の年代もそうですが、確実に周りの国のレベルが上がってきている。ここでもう一度、日本がアジアで勝つために何をしなければならないのか。正直、それは探り探りですが、それをしっかりみんなで考えることが重要ですし、今の代表監督がやろうとしていることを自分たちがしっかり表現することが大事だと思っています」

―年内ラスト2試合となるシンガポール戦、カンボジア戦をどんな試合にしたいですか?
「予選というのは、とにかく結果が一番です。時にはきれいじゃないゴールも必要になってくると思いますし、そういうプレーも必要になってくると思います。勝つことでいろんな可能性が広がってくると思うので、まずは勝って、しっかり予選を終えたいなと思います」

―広島ジュニアユース時代に2トップも組んでいた槙野智章選手とのポジション争いには考え深いものがありますか?
「不思議なんですよね。小さいころは一緒にFWをやっていて、お互いにポジションがだんだん下がっていって、センターバックでポジションを争うという……。それが日本代表というところですし、なかなか面白いなと自分でも思っています」

―森重選手にとって、槙野選手はどういう存在ですか?
「意識する相手でもありますし、そういう相手がいたほうが自分も成長できると思っています」
(取材協力 ナイキジャパン)

●ロシアW杯アジア2次予選特集

TOP