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3年9か月ぶり先発でビルドアップに貢献した柏木「今は大人になった」

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[11.12 W杯アジア2次予選 日本3-0シンガポール シンガポール]

 ゲームメイクからチャンスメイクまでこなした。12年2月の国際親善試合アイスランド戦以来、約3年9か月ぶりに先発出場を果たしたMF柏木陽介(浦和)が、ビルドアップの部分でハリルジャパンを進化させた。

「相手を寄せるパス、裏に出すパス、サイドに散らすパスをうまく選びながらやれた。バタバタしたときに落ち着かせることもできたし、ミスしたあともすぐに切り替えて奪いに行けた。球際も良かった」

 背番号7は、ピッチで表現すべき役割を一つひとつ挙げながら、「久々の代表での先発にしては良かった」と充実感を漂わせた。

 19歳のときに出場した07年U-20W杯で10番を背負って脚光を浴びたのはもう8年前のことだ。10年1月に岡田ジャパンで代表デビューを果たし、ザックジャパンでは3試合に出場してブラジルW杯を目指したものの、12年4月の代表候補合宿を最後に声がかからなくなった。

 再び日の丸を背負うようになったのはハリルホジッチ体制になってから。縦に速い攻撃に縛られてがんじがらめになっていたチームにおいて、緩急自在なゲームコントロールができる選手として白羽の矢が立ち、代表のピッチに戻ってきた。

 シンガポール入りしてからは非公開練習で先発組に入ってプレーしていた模様だが、「(監督から)何も話がないまま試合当日を迎えたのでドキドキした」。しかし、「昔と違って、出なくても良い準備をしているし、今は大人になった感じで過ごせているから」と、状況に応じて必要なプレーを出すことに集中した。

 前半14分には相手選手と空中戦で競り合い、相手にイエローカード。同19分には縦パスを奪われたが、すぐに相手に寄せてボールを奪い返した。同31分にはFW本田圭佑へのスルーパス、そして同32分にはMF長谷部誠へのスルーパスがチャンスにつながった。セットプレーでは左CKを任され、後半42分にはDF吉田麻也の3点目の“起点”にもなった。

「選手の特徴をつかみながらプレーできた。与えられた役割をこなすことができたのは自分でも評価している」と言う。もっとも、シンガポール相手では満足という域に達しない。「相手がもっと強くなったときに、どれだけできるかを試していきたい。“日本代表にはお前が必要だ”と言ってもらえるような選手になるように」

 以前はプレーにムラがあった。今はすっかり大人になった。これを続けていくことが、最終予選、そして、自身の目標であるW杯のピッチにつながっていくはずだ。

(取材・文 矢内由美子)

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