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[選手権予選]ともに初の全国懸けた大阪決勝。攻守両面で狙い通りの展開持ち込んだ阪南大高に軍配

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[11.14 全国高校選手権大阪府予選決勝 阪南大高 1-0 興國高 キンチョウ]

 第94回全国高校サッカー選手権大阪府予選決勝が14日に行われ、阪南大高興國高が対戦した。ともにに初の全国選手権を目指した一戦は、前半30分に奪ったFW福元祐介の得点を守り切った阪南大高が勝利した。

 先に仕掛けたのは、初の決勝進出に勢いづく興國だった。前半7分に後方からのパスを受けたFW大垣勇樹が鋭いターンで阪南大高のマークをかわし左から好機を演出。8分にもMF小國憲弥のスルーパスからFW北山雄大がPAを抜け出し、シュートを狙ったが、DF小松拓幹のスライディングに阻まれた。対する阪南大高も15分に、左サイドのMF徳網勇晟が相手DF裏に浮き球を配球。飛び出した福元が足を伸ばして合わせたが、ボールは枠の右に逸れた。

 以降も興國が試合の主導権を握る中、ポイントとなったのは興國のサイド攻撃封じ。テンポ良く繋ぐ後方でのボール回しに食らいつくのではなく、CBの長井一真塩崎悠司が対角線上に位置するFW西口黎央、大垣をめがけてロングボールを蹴った瞬間に、岸元海高畑亮祐の両SBが先回りして、ボールを奪取。2人にボールが渡っても、CBとボランチがカバーに入ることで決定機を与えない。「準決勝の興國に対する金光大阪高の戦いを見て、相手の長いボールを抑えようと練習してきた。プラン通りの試合展開」と濱田豪監督が口にしたように、阪南大高としては理想的な展開で序盤を凌いだ

 均衡が崩れたのは30分。無失点で試合を進めた守備同様に、「点を獲るならセットプレーか、何か(事故)を起こすか」(濱田監督)という狙い通りの形だった。PA右手前で福元が倒され、FKを獲得すると、キッカーのMF藤本悠太郎がPA左に浮き球を展開。小松がヘディングでゴール前に折り返したボールを福元が頭で押し込んだ。

 阪南大高のリードで迎えた後半は、興國がよりボール支配率を高める展開に。「準決勝は斜めへの長いボールで崩していたので、(この日の)前半は警戒されてしまった。なので、細かいパスから両サイドを動かす展開に持っていって、そこから細かいパスを繋いでいこうと考えていた」(MF宮城和也)。狙い通り、後半9分には右サイドを宮城、西口と素早く繋いでゴール前にパスを入れたが、中と合わず。15分にもDF吉岡陸の右クロスを宮城がゴールまで合わせたが、GK正面に終わった。

 阪南大高は耐える時間が続いたが、「プリンスリーグでは、リードしていれば残り時間が何分だろうと守り切る意識が強く、ボールを獲っても前に蹴るだけ。セカンドボールが全部相手に渡って苦しんだ。なので、今日は逃げ切るのではなく、2点目を獲りに行こうと声をかけた」(岸元)と攻めの意識も忘れず。ベンチも積極的に交代カードを投入し、フレッシュな選手たちの推進力によってカウンターからの“2発目”を狙った。23分にはクリアボールからFW島田直樹が飛び出し、左CKを獲得。高畑がヘディングで合わせたが、枠の右。37分にも島田がカウンターからGKと1対1のチャンスを迎えたが、シュートは枠を捉えることができない。“2発目”を決めることはできなかったが、1-0のままタイムアップを迎えた。

 3度目の決勝進出で初めて掴んだ全国の舞台。就任17年目の濱田監督は 「過去2回、決勝に進出した時の方が僕の手応えがあった」と振り返る。今予選も、決して褒められる内容の試合ばかりではなく、延長戦の末、勝利をおさめた6回戦の関西大北陽戦など辛勝も多かったが、「選手権というのは、“チームになった”チームが一番強い。一戦一戦、チームの戦い方が浸透していったのかなと思います。今年は突出した選手がいないものの、結果としてチームがまとまった」(濱田監督)。主将の岸元も、「飛びぬけた選手はいないけど、チームワークは良い。声をかけて、チームが一つになれば勝てると思って、声を出し続けた」と続けたように、最後まで懸命に声を出し続けた応援団含め、チーム一丸となって掴んだ結果だったのは間違いない。

(取材・文 森田将義)

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