beacon

J2優勝に歓喜のMFカルリーニョス「今日は寝ないでお祝いだ!」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11.14 J2第41節 大宮3-2大分 NACK]

 ホーム最終戦となった大分トリニータ戦で、大宮アルディージャのMFカルリーニョスは、90分フル出場を果たした。ピッチ上を幅広く走り、強烈なシュートで大分ゴールを強襲し、長短のパスを散らして攻撃のリズムをつくった。守備でもMF横山知伸とバランスを取って中央を固めた。

 ピッチ上で輝いたカルリーニョスだが、週の頭には右内転筋に疲労がたまっており、フルメニューをこなすことはできていなかった。だからこそ、余計に一戦に懸ける想いは強くなっていたという。

「この試合を見据えて治療をしてもらいました。チームのメディカルスタッフが優秀で、彼らのおかげでピッチに立てました。今日、100%でプレーできたのは、チームスタッフのおかげなんです。試合のために練習を回避させてもらったことも助かりました。その期待に応えないといけないという想いで、試合に臨んでいました」

 一時は0-2とビハインドを背負った。しかし、チームスタッフやサポーターへの思いが、あきらめることを許さなかったと振り返る。

「2点を追いかけるというのは、簡単ではありません。でも、満員のサポーターの前で勝たなければいけない。このまま終わるわけにはいかないという責任感を持ってプレーしました。どの選手もあきらめることなく、最後まで戦いました。まず1点を取ることを目指して、1点目、2点目を良い時間帯に取ることができて、最後は勢いで逆転できたと思います。サポーターの前で勝てたことがうれしいですし、サポーターのおかげだと思っています」。

 今季のターニングポイントになったゲームに、カルリーニョスは第33節の東京V戦を挙げた。FW富山貴光が途中出場し、決勝ゴールを挙げた一戦だ。試合に出ている選手だけではなく、ベンチ入りした選手、ベンチ外の選手も、チームのために全力を尽くしたと、カルリーニョスは断言する。

「アウェーのヴェルディ戦で富山選手が出て、苦しい試合で点を取ってくれました。あのゲームが『優勝できるぞ』と思えた、タイトルが見えた試合でした。ああいうふうに試合に出られなくても、チームのために戦ってくれる選手がいる。それがこのチームの強みで、あの結果につながったと思うし、あそこからタイトルに向けてのカウントダウンが始まったと思います」

 まだJ2リーグ戦は1試合残っているが、まずは歓喜に浸りたいというのが、率直な想いだろう。「今日は寝ないで、いっぱいお祝いしたいなと思います。明日のトレーニングが若干心配ですが、それくらい難しいシーズンだったし、それくらいうれしいので(笑)」。そう話し終えると、いつも通りに囲み取材をしていた記者一人ひとりに「ありがとう」と声をかけて、握手をし、ミックスゾーンを後にした。その後ろ姿は、いつもよりうれしそうだった。

(取材・文 河合拓)

TOP