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[選手権]どちらが上手くて、強いか。野洲と聖和学園が“希望通りに”初戦で激突

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 ドリvsドリ、技vs技。第94回全国高校サッカー選手権1回戦でドリブル、ショートパスに特長を持つチーム同士の注目カードが組まれた。“セクシーフットボール”こと05年度全国王者の野洲高(滋賀)と杜の都・仙台のドリブル軍団、聖和学園高(宮城)が激突。ともに個々が高いドリブルスキルを持つ技巧派チーム同士の一戦は早くも“セクシー対決”と話題になっている。
 
 両校が希望していた通りの対戦だ。組み合わせ抽選会であとからくじを引いた野洲の注目レフティーMF林雄飛主将(3年)が「(聖和学園との対戦を)引くつもりでやったんで良かったです」と振り返れば、昨年も選手権を経験している聖和学園DF丹野裕太主将(3年)は「自分も野洲が来ると思っていた。『野洲、引いてこい』と言われたので、多分みんな喜んでいますね」と笑みを見せた。関係者、他校の選手たちもこの2チームがどのような特長を持つチームか理解している。だからこそ、このカードが決まると、抽選会会場にどよめきが起こった。

 “聖和のサッカーが面白い”という評判はその実力とともに近年、急激に高まってきた。その彼らにとっても野洲の存在は特別だという。聖和学園の丹野は「自分らの憧れでもあるんですよね。同じドリブラーとしても。自分らは切り替えの遅さだったり、時間が経つと遠い距離感になってしまうので見習いたいですね」。一方の野洲も、自分たち以上とも言えるほどボールを保持することへのこだわりを持つ聖和学園への敬意を口にする。林は「向こうはつなぐことに徹底していると思うんで尊敬の意味でも凄いと思う」と語った。互いに認めあう両校だが、それと勝負とは別。丹野は「チャレンジャーとして倒していきたいと思います」と力を込め、林は「(ドリブル対決が注目されて)周りはそこを見ていると思うんですけど、自分らは勝ちにこだわりたいです」と意気込んだ。

 特に野洲は林、エースFW村上魁という全国屈指の名手を擁している今年、注目を集める存在だったが、総体予選は準決勝で苦杯。だがその敗戦後、コンパクトな陣形、ショートパスをつなぐことへこだわったスタイルから変化を見せている。林は「負けた時からやり方変えて行こうと言って、練習からやってきた。(徹底的に)足下につけるんじゃなくて、オフの動きでスペースに出すのをテーマにしてやったら結果が出て来ました。スペースに出してきたら、足下のパスも活きてきた」と説明する。県予選決勝では5得点を奪って快勝しているが、幅のある攻撃への変化が全国進出に繋がった。

 一方、聖和学園の丹野は「去年と違って今年は自分らの(世代の)持ち味でもあるロングパスやショートパスも。カウンターで結構点を取る回数が増えているのでそういうところで取って行きたい」。故障のエースFW谷田光(3年)が万全ではない状況で予選突破。“ドリブルだけじゃない”部分、また県予選決勝で土壇場で追いつき延長戦で勝ち越した勝負強さも「持ち味」(丹野)として発揮し、楽しんで勝つ意欲だ。

 ともに「全国制覇」(丹野)、「優勝できる」(林)と頂点を目標に掲げる両校の「どちらが上手いか」「どちらが強いか」争う対決は、12月31日にニッパツ三ツ沢球技場で行われる。

[写真]技と技の勝負に注目集める1回戦注目カード。野洲MF林主将(右)と聖和学園DF丹野主将

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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