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カウンター招くもひるまず…積極性貫いた槙野「前半のあれがあったから…」

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[11.17 W杯アジア2次予選 カンボジア0-2日本 プノンペン]

「まだまだやるべきことがある。相手どうこうじゃない。自分たち次第で改善できるところがある」。カンボジアを2-0で下したとは思えないほど、試合後のDF槙野智章(浦和)の表情は厳しかった。

「結果もそうだけど、内容でも圧倒したいと思って臨んだ。90分間イニシアチブを握ることと、ゴールを多く取ることが今日のテーマだったけど、それができなかった」。高い目標を持っているがゆえに、FIFAランキング183位のカンボジアを圧倒できなかったことに歯噛みした。

 立ち上がりはチーム全体で威勢良く敵のゴールに迫っていこうという意識が見えたが、いざ試合が進んでいくと、不慣れな人工芝と初使用のボールの扱いに戸惑い、徐々に慎重なプレー選択が目立ってきた。

 それでも気持ちだけは前掛かりになっているのか、ミスからボールを奪われ、カウンター攻撃を受けるピンチも。前半10分、1トップに入った181cmの長身FWクオン・ラボラビーのカウンターは槙野がしっかりとカバーし、事なきを得たが、その後もチームとしてラボラビーに何度かカウンターを受けたのは反省材料だ。

「ゼロで抑えたという結果は良かったが、もう少し後ろからオーガナイズしないといけないのかなと思う」と、守備主導によるゲームコントロールの必要性も口にする。

 一方、攻撃面では得点にこそ結びつかなかったが、機を見て積極的な持ち上がりを試みたことは、引いた相手を崩す一助となった。前半22分、槙野のボールロストから最後はラボラビーにシュートまで行かれるピンチを招いたが、「後ろも攻撃参加するように言われていた。カウンターを一回受けたくらいでやめるのではなく、幅と深みで相手を動かすことを心掛けた。前半のあれがあったことで、後半の得点につながったと思う」と、一定の成果があったことに手応えを感じている。

 ハーフタイムにはベンチから試合を見ていたFW本田圭佑から「もっと裏のスペースを使ったらどうだ」とアドバイスも受けた。チームメイトもその攻撃力を認めているのだ。「納得のいくゲームではなかったが、収穫はあった」。精悍な表情でそう言った。

(取材・文 矢内由美子)

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