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ロングスローで見せ場つくった金沢星稜大DF塩田「今年一番のゲームだった」

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[11.23 全日本大学選手権プレーオフ 順天堂大1-0金沢星稜大 NACK]

 金沢星稜大は、あと一歩のところで全国行きを逃した。0-1の敗戦となったが、武器であるセットプレーで幾度も順天堂大ゴールへ迫るなど、粘りをみせた。なかでもDF塩田恵大(4年=室蘭大谷)のロングスローから生まれる攻撃は脅威となった。

 0-1で迎えた前半終了間際、塩田は立て続けにロングスローでチャンスメイク。後半32分に右サイドから斜めに助走をつけて投げ込んだボールは、PA内正面まで飛び、フリーのFW西原樹が右足ダイレクトで狙うも枠上へ外れた。その後も相手のMF長谷川竜也(4年=静岡学園高)に「厄介でした」と言わしめるほど、ロングスローでチャンスを演出。しかし、いずれのシュートもクロスバーを叩くなど、この日は1点が遠かった。

 試合後、塩田は「セットプレーやCK、ロングスローを武器にやってきて、惜しいシュートが多かったのは残念としか言いようがない」と悔しい表情。「チームとして今年一番のゲームが出来たのに、これで終わってしまったのは悔しい」と唇を噛んだ。

 スタンドを沸かせるほどのロングスローをみせた塩田。室蘭大谷高の3年生時、自主練習をしているときに遠くまで投げられることに気がついたという。しかし、全国高校選手権の北海道予選は全試合が大雨。引退試合となった決勝・旭川実業高戦でも“秘技”をみせることはないままに大学へ進学した。

 金沢星稜大に進学後もロングスローを磨くと、「今はチームの戦術として、セットプレーやCKとロングスローも得点手段の一つになった」という。この日は小雨が降ったり止んだりで、良いとはいえないコンディションだったが、ボールは「あまり濡れてなくて投げやすかった」と振り返ったように幾度もチャンスを演出した。

 NACK5スタジアム大宮はサッカー専用スタジアムのため、ピッチサイドに距離がなく、陸上競技場のように助走を大きく取ることはできない。それでも、金沢星稜大のグラウンドよりもNACKは距離があったため「問題はなかった」という。

 今後はサッカーの指導者を目指すという塩田は、教員への道を歩み始める。控えている卒業論文では、自身の経験なども踏まえて「ロングスローによる戦術分析」について研究する予定だ。

 4年間の大学サッカーを終えるとともに、「選手としては一線を退きます」と話したDF。全国まであと一歩のところまで迫りながらの終戦に悔しさは募るが、「こういう悔しさがあるから、次のステージでも頑張っていきたいし、こういう思いを次のステージでも活かせるように」と誓った。

(取材・文 片岡涼)

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