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志半ばも進行止まらず…岐阜の難病患った37歳青年社長が退任へ「心残りでしかない」

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[11.23 J2第42節 岐阜1-4福岡 長良川]

 FC岐阜の恩田聖敬代表取締役社長(37)が退任することが発表になった。ホーム最終戦となった23日の試合後のセレモニーで、株主としてチームを支援するJトラスト株式会社の藤澤信義氏が明かした。

 恩田社長は今年1月に通称ALSと呼ばれる難病「筋委縮性側策硬化症」を患っていることを公表した。ALSは手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が、だんだんやせて力がなくなっていく病気で、14年夏には研究支援を呼びかける運動として、「アイス・バケツ・チャレンジ」と呼ばれる運動が世界的に流行した。各界有名人が氷水を頭からかぶるなどの活動で、認知度を上げていた。

 公表後すぐに続投の意思を示し、職務を続けていたが、病状は悪化の一途を辿った。徐々にコミュニケーションが取れなくなったこともあり、業務を続けることは困難と判断された。

 試合後、会見の場が設けられた。恩田社長は現在、人の言葉は聞き取れるものの、会話をするのは困難な状態にある。それでも、会見ではアシスタントを通してだが、懸命に言葉を届けようと声を絞り出す。今後については「サポーターとして応援に徹する方がいいのかなと考えている」。ただ志半ばでの退くことについては、「心残りでしかない」と無念を語った。

 恩田社長と同席した藤澤氏は、「客観的に見ても、社長が務まるとは思えない状況だった。解任ということではなく、自ら新しい第一歩を進んでくださいと伝えた」と説明。「瀕死のFC岐阜からちゃんとした会社になるまでは築いてくれた」と労をねぎらった。

(取材・文 児玉幸洋)
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