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「甲府に足向けて寝れない」失点絡んだ広島DF千葉、元甲府コンビに感謝

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[12.2 チャンピオンシップ決勝第1戦 G大阪2-3広島 万博]

 劇的すぎる結末だった。後半15分にミスから先制点を決められたサンフレッチェ広島。2度のリードを許す苦しい展開から後半41分に相手が退場者を出すと、そこから後半アディショナルタイムの2ゴールで逆転勝ちをおさめた。アウェーゴール3点を奪って敵地で3-2先勝。2年ぶりのリーグチャンピオンに大きく近づいた。

 まさかの失点だった。0-0の膠着状態が続いていた後半15分、最終ラインでビルドアップしていた広島は左サイドのDF佐々木翔が中央にバックパス。一瞬、ボールを受けようとしたMF森崎和幸が見送り、DF千葉和彦に任せようとしたところをG大阪FW長沢駿が見逃さなかった。2人が“お見合い”したボールをすかさず左足でシュート。豪快にゴールネットを揺らし、先制点が生まれた。

「最初は自分が処理しようとしたけど、千葉ちゃんが僕の名前を呼んだので、触らずに流したら……。『OK』みたいな感じで呼んだのかと思ったけど、千葉ちゃんは僕(を経由して)から受けようとしたみたいだった」(森崎和)

「1失点目は迷惑をかけた。自分の声掛けがまずかった。自分が一番後ろにいたんだから、自分がしっかり指示しないといけなかった」(千葉)

 単純なコミュニケーションによる連係ミス。思わぬ形でリードを許したが、「ミスが起きたのは仕方がない。まずは1点を返そうと思っていた」(森崎和)、「まだ時間はあったし、最悪、0-1でいけば2戦目もある。次、次と切り替えた」(千葉)と、引きずることはなかった。

 後半35分にMFドウグラスのゴールで1-1の同点に追いつくと、その1分後に再び勝ち越しを許したが、後半41分にG大阪DFオ・ジェソクが一発退場。このプレーで流れが一変した。後半アディショナルタイム1分、佐々木の同点ヘッドで2-2に追いつくと、試合終了間際の後半アディショナルタイム6分、途中出場のMF柏好文が劇的な決勝点を奪った。

「チームメイトに感謝です」。自分たちのミスを仲間に助けられた千葉は「同点ゴールが(佐々木)翔で、逆転ゴールがカシくん(柏)。今日は甲府に足を向けて寝れないです」と笑った。昨季、甲府から加入した柏と、同じく甲府から今季広島に完全移籍した佐々木。元甲府コンビのアベックゴールで、広島が2年ぶりのリーグ王者に前進した。

(取材・文 西山紘平)

●2015 Jリーグチャンピオンシップ

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