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[MOM357]流通経済大FW森保圭悟(4年)_スペシャリストの復活、父の世界戦前祝い決勝弾

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.10 全日本大学選手権2回戦 流通経済大3-2(延長)北陸大 夢の島]

 一昨日、そして前日の練習で何度も決めているポジションだった。2-2で迎えた延長後半10分、流通経済大(関東4)はMF西谷和希(4年=鹿島学園高)がゴール前やや左で倒されてFKを獲得。キッカースポットにはDF田上大地(4年=流通経済大付柏高)とともにMF森保圭悟(4年=広島ユース)が立った。

 キッカーはすぐに決まった。「一昨日と昨日の練習でFKを決めていたので、蹴らせてくれと言いました」。森保が言うと、田上も快諾。そして右足から放たれたボールは、華麗な放物線を描いてゴールに吸い込まれていった。

 苦しんだ1年だった。森保は優勝した昨年度のインカレ決勝で、前半26分に左足首を負傷。さらに負傷が癒えたあとに今度は右足小指を負傷。満足にサッカーをすることが出来なかった。

 コンディション不良は伝家の宝刀をも錆びさせた。もともと「10回あたったら7回から8回は決める」(中野雄二監督)ほどのFKのスペシャリスト。昨年はシーズン前に行った3月の試合だけで8得点を決めるなど、絶好調時にはそうそう止められることはないという。それでも今季はその右足が鳴りを潜める。チャンスはあったが、シーズンが終わるまでFKを決めることが出来なかった。

「FKのゴールは去年のリーグ戦以来ですかね。久しぶりでした。今年は怪我とかでパフォーマンスが上がらなくて、悔しいシーズンになっています。だからこそインカレは気持ちを入れてやっています」

 森保という苗字にピンとくる方も多いと思うが、森保はサンフレッチェ広島を率いる森保一監督の息子で、森保三兄弟の次男。長兄・森保翔平は今季はカマタマーレ讃岐でプレー。三男・森保陸は広島ジュニアユースに所属し、来季より広島ユースに昇格するサッカー兄弟だ。「(父からは)自由にやれ、サッカーを楽しんでやれと言われている」と照れた圭悟。同日開幕したクラブW杯に、開催国王者を率いて参戦する父へのお祝い弾になった。

 卒業後の進路はまだ未定。ただ、数クラブの練習にすでに参加しており、プロには進むつもりでいる。インカレは最後のアピールの場にもなる。

 流経大は3連覇を目指した今夏の総理大臣杯の準決勝で明治大にPK戦の末に敗退。そのPK戦で唯一失敗したのが森保だった。次なる相手は、その総理大臣杯を制した関西学院大。個人として昨年の決勝戦、そして夏のリベンジを果たすべく、森保は再び宝刀を抜く。

(取材・文 児玉幸洋)
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