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流血のオークランドDF岩田、替えのユニなく背番号なしでプレー

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[12.10 クラブW杯1回戦 広島2-0オークランド 横浜]

 頭に包帯を巻き、顔面は腫れ上がっていた。オークランド・シティのDF岩田卓也は後半41分、ルーズボールに飛び込んだ際、MF柏好文の膝が頭部を直撃。右目の上を切って流血し、ピッチの外で治療を受けた。

 それでも包帯を巻き、すぐにプレーに戻った岩田。「負けている状況で悔しかったし、個人として満足いくプレーもできていなかったので、頭のケガは考えなかった」。その後も浮き球をヘディングするなど、ケガを感じさせないプレーを見せ、ラモン・トリブリエチ監督も「(岩田)卓也はすごい。日本人なので規律もあるし、性格も良い。今日で女性ファンも増えたのではないか。顔は腫れてしまったけどね」とジョークをまじえながら、その勇気と闘争心を称えた。

 試合後、右目の上を7針縫ったという岩田は目の周りを真っ赤に腫らし、日本の報道陣の取材に応じた。「2人の選手をケガさせてしまって、そのしっぺ返しが来たんじゃないかなと思う」。故意ではなかったが、結果的に岩田との接触プレーでMF野津田岳人、MF柴崎晃誠が負傷交代。その責任を感じてか、申し訳なさそうに言った。

 出血のため血が付いたユニフォームを着替えることになった岩田が、そこに背番号はなかった。「僕らはプロじゃないし、お金もあまりないので、替えのユニフォームがないんです」。この日は試合前から激しい雨が降っていたが、「こういう天気ならプロの選手はハーフタイムに着替えると思うけど、僕らは1枚で戦っている」と、前後半とも同じユニフォームでプレーしていたという。

 試合後はマッチアップした柏と言葉をかわした。「試合の途中途中で『次はこうしよう』と考えながらプレーしたけど、その上をいかれてしまって、やられた感が残った。『どういうプレーがやりにくいですか?』と聞いて、今後の自分の成長のためにアドバイスをもらった」。オークランドで4年連続4回目の出場だったクラブW杯は3度目の初戦敗退。「(クラブW杯に)慣れた感じがあったので、そこが反省点」。岩田は悔しそうに首を振った。

(取材・文 西山紘平)

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