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[MOM1622]神戸弘陵DF山口翔也(3年)_主将不在のピンチ救ったCBが貴重な先制点

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.13 高円宮杯プレミアリーグ参入戦2回戦 磐田U-18 1-2 神戸弘陵高 Eスタ]

 来季からのプレミアリーグ参入戦がかかった大事な試合だったが、神戸弘陵高は大会1週間前の紅白戦で主将であり守備の要でもあるCB中濱颯斗が右太ももを痛めて離脱。大きな痛手を負ったチームを救ったのは、相方を務めるCB山口翔也(3年)の一撃だった。

「前の選手は全国でも十分に戦える選手ばかり。DF陣が球際や競り合いで勝てれば、全国でも勝てる。僕らがしっかり守って、後は前の選手に頼む感じ」と口にしたように、ミッションはジュビロ磐田U-18にゴールを与えないこと。この日、山口のパートナーを務めたのは1回戦の旭川実高(北海道)と同じく本来は右SBの松岡耕生。「いつも颯斗に僕のミスをカバーしてもらっているので心配はあった」というものの、「松岡とはいつもコンビを組んで練習しているので、試合が始まってからは何も心配なかった」と息の合った連係で磐田に得点を許さない。

 磐田の要注意人物であるFW山下諒也に対しても、背後へのボールをきっちりヘディングで跳ね返すことで、裏への飛び出しに長けたストライカーにボールを渡さず。突破を許しても周囲とマークを受け渡しながら、ピンチを回避した。後半17分にゴールを許したものの、「失点はしたけど、それ以外は止められたかなと思う」と胸を張ったように、守備の奮闘が勝因の一つだったのは間違いない。

 そして、「プリンスリーグでいつも得点を狙ってきたけど、得点できたことがなくて。今日は、『やってやろう!自分が決めてやろう!』って思っていた」という意気込み通り、前半28分には守備だけでなく、攻撃での見せ場も。左CKは一度、磐田守備陣にクリアされたが、高い位置でMF下山祥志が拾って、再びゴール前のDF松岡耕生の下へ。「松岡とはいつも二人組でシュート練習をやっているので、いつも通りの型。ボールが入った瞬間に、『後は決めるだけだな』って思った」との言葉通り、素早く相手DFの裏に飛び出し、ダイレクトでのスルーパスを受けると冷静にゴールに流し込んだ。

 攻守両面で勝利の立役者となった山口だが、レギュラーに定着したのは今年に入ってから。「皆やる気があって、一つのプレーをサボれば周りに抜かれてしまう。いつも練習から気が抜けない」と口にするように、周囲と切磋琢磨しながら、力を磨いてきた。高い守備力と共に左足のキックも備えた実力派の彼でも定位置は安泰ではなく、プリンスリーグ開幕戦の関大一高戦には出たものの3失点を許して敗れたため、続く第2節の阪南大高戦は出場機会を得られず。「このままじゃダメだなって思って、今まで以上に自分の意識を高めた。入学した時から、僕はフィジカルが売りなので、筋トレや体幹では誰にも負けたくないと思ってきたけど、チームの代表として、試合に出させてもらっているからには、もっと頑張ろうって思った」と振り返る。

「チームは波に乗っていると思う。これで満足せずに、もっと上を目指して頑張れば、選手権でも目標のベスト4より上に行けるはず。明日からも、また皆と競争し合ってレベルアップしたい」。この日の活躍にも浮かれた様子はない。次なるターゲットである選手権出場まで残りわずかしかないが、更に成長した姿を見せてくれるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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