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[MOM371]関西学院大FW出岡大輝(3年)_“呉屋の代役”ではない、待ちに待った本職起用でハットトリック

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.19 大学選手権決勝 阪南大0-4関西学院大 駒場]

 この日、関西学院大は累積警告でエースFW呉屋大翔(4年=流通経済大柏高)を欠く戦いを強いられていた。代わって1トップに指名されたのは、これまでトップ下での出場が続いていたFW出岡大輝(3年=G大阪ユース)だった。

 しかし、“呉屋の代役”のつもりは全くなかった。前半14分に左足でゴールネットを揺らすと、同28分にはCKのこぼれ球を押し込んで加点。そして同41分にはスルーパスに反応し、半だけで優勝を決定づけるハットトリックを決めてみせる。「自分が一番驚いています」。圧巻のゴールラッシュで、関学大を初優勝、そして4冠へと導いた。

 出岡にとってはまたとないチャンスでもあった。本来、ガンバ大阪ユース時代からストライカーを本職としていた出岡だが、関学大では1学年上に“怪物”呉屋がいたため、どうしても最前線での先発出場は難しい状況だった。事実、2年生の昨年はボランチを経験。そして今季もトップ下を務めている。

 ただ“代役”はすでに経験済みだった。今年5月3日の関西リーグ戦第5節の近畿大戦。故障でスタメンを外れた呉屋に代わって、出岡が1トップで先発した。そしてその試合でも出岡は後半4分に先制点を奪うと、同37分にも追加点を記録。勝利へと導いていた。

 迎えた大一番での本職起用。緊張よりも楽しみが上回っていた。試合前には無念のエースに対し、「呉屋君のぶんも頑張ります」と宣言。呉屋も学部が一緒の直属の後輩に対し、「お前に託した」と一言かけて試合に送り出していた。結果はハットトリックという最高の恩返し。しかしこれには本人が「自分が一番驚いています」と目を丸くすると、呉屋も「あいつならやってくれると信じていた。でも3点も取らなくてよかったですけど」と苦笑いを浮かべていた。

 来年は呉屋に代わるエースストライカーとしての活躍に期待が集まる。「大きな背中を追いかけている感じだった」。まだまだ遠いと話す呉屋の存在。「でも勝負しないといけないと思う。自分はまだまだ甘い。呉屋くん以上に点を取らないと評価してもらえないので気を引き締めたい」。関学大の真価が問われる来季。出岡の存在はよりクローズアップされることになりそうだ。

(取材・文 児玉幸洋)
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