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「苦しいときは逃げたくなるけど…」JリーグMVP青山を支えた母の言葉

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 Jリーグは21日、都内のホテルで「2015 Jリーグアウォーズ」を開催し、サンフレッチェ広島のMF青山敏弘が初の最優秀選手賞(MVP)を受賞した。2年ぶり3度目のベストイレブンにも選出された広島のキャプテンは、第1ステージ第17節・鳥栖戦でPA外から決めた右足ダイレクトボレーが最優秀ゴール賞にも選ばれ、“個人3冠”を達成した。

「まだ実感はありません」。表彰後の記者会見。青山は受賞の感想をそう語ると、「優勝したからこそ、付いてきたものだと思うので、優勝のほうが気持ち的には大きい。ただ、1年間やってきた最後にこういうご褒美をいただけて、日々やってきたことが無駄ではなかったとあらためて思った」と、静かに喜びをかみ締めた。

 作陽高(岡山)から04年に入団し、広島一筋12年目。受賞スピーチで「12年間、広島で育てていただき、広島だから僕はここまで成長できたと思う」と述べたように、酸いも甘いも経験した12年間だった。07年にはJ2降格を経験。翌08年には北京五輪の本大会メンバーから落選する挫折も味わった。

「いつも苦しいときは逃げたくなるけど、それでも今できることをやるしかないと思って、いいときも悪いときも今、自分に何ができるのかを常に考えて、考えるだけでなく、行動して前に進んでこられたと思う」

 これまでの自身のサッカー人生を振り返った青山は「自分の支えになっていたもの、心に刻んできたものはあるか?」という質問に「自分が五輪(のメンバー)から落ちたときに母が『あなたなら大丈夫』『あなたならがんばれる』と言ってくれたので、それが自分の心の支えになっていると思う」と、率直な胸の内を明かした。

 2連覇中だった昨季、FW佐藤寿人からキャプテンを引き継くが、ケガもあってリーグ戦は25試合に出場にとどまり、チームも8位と低迷。リーグ3連覇を逃すと、ナビスコ杯でも決勝でG大阪に敗れ、準優勝に終わった。

「まずはチームがタイトルを獲る。その中で自分が何をできるか。ケガなく1年を通して試合に出続けて、勝利に貢献する選手でありたいと思ってやってきた」

 今季は出場停止を除く全33試合に出場。文字どおりキャプテンとしてチームを引っ張り、2年ぶり3度目のリーグ王者、そしてクラブW杯3位へと牽引した。

 この日のJリーグアウォーズ。J1優勝クラブの表彰にチャンピオンシャーレを持ってチームメイトとともに登壇した青山は「ここに立てて、誇らしい気持ちでいっぱいです」と挨拶すると、「シャーレは特別だし、この重みは特別なので、来年もこのシャーレを掲げたい」と、力強く連覇を誓っていた。

(取材・文 西山紘平)

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