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「今の自分があるのは仙台のおかげ」香川が復興支援イベントにサプライズで登場

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 東日本大震災の復興支援活動として日本サッカー協会(JFA)とキリングループが継続的に行っている「JFA・キリン スマイルフィールド」が25日、キリンビール仙台工場で開催され、日本代表MF香川真司(ドルトムント)がスペシャルゲストとして登場した。

「JFA・キリン スマイルフィールド」は岩手県、宮城県、福島県の小学校を対象に11年9月よりスタートし、これまでに656校、9万9500人が参加した。通算657校目となる今回は仙台市立東六郷小学校を対象に開催され、全校児童17人を招待。元日本代表DFの中西永輔氏をコーチに迎え、体育館でボールを使って体を動かした。

 ゲストコーチとして香川が来ることは事前に知らされておらず、日本代表の10番がサプライズで登場すると、どよめきと歓声があがった。最初は表情の硬かった子供たちも徐々に緊張がほぐれ、笑顔でボールを追いかけた。

「サッカー未経験の子供も多かったけど、無邪気にボールと触れ合って、ボール一つでこんなに笑顔の輪が広がるんだなと実感した。ボールを無心に追う子供たちの姿がハツラツとしていて、僕自身、良い経験になりました」

 香川は小学校卒業後、生まれ育った神戸を離れ、仙台市内の中学校に通いながらFCみやぎバルセロナのジュニアユースでプレーした。イベントの最後には子供たちに向かって「僕も中学、高校と仙台に住んでいて、今はプロとして海外でプレーしています。みんなも大きな夢を持って、それに向かってしっかり努力して突き進んでほしい」とエールを送った。

 震災被害の影響もあり、東六郷小学校は16年に卒業生を送り出したあと、近隣小学校と統廃合される予定だという。台風の影響で中止となった14年を除いて12年から毎年、「JFA・キリン スマイルフィールド」に参加している香川は「ここに来る前に学校にも行ってきたけど、まだ周りに家や建物がまったく立っていなくて、僕自身、感じるものがあった」と、依然、震災の爪痕が残る状況に言葉を失ったという。

「今の自分があるのは仙台のみなさんのおかげ。その感謝の気持ちを示すためにも、サッカーを通して貢献していきたい」。あらためて継続的な復興支援活動に取り組む決意を強めた香川は「なかなか日本に来ることはできないけど、オフシーズンやウィンターブレイクには仙台や福島など東北各地に足を運びたい」と約束した。

 同校にはサッカーボールや組み立て式のゴール、マーカー、ビブスなどが贈呈され、子供たちにも香川と中西氏のサインが入った色紙や記念写真をプレゼント。笑顔溢れる夢のような時間はあっという間に閉幕を迎えた。

(取材・文 西山紘平)

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