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「アジアでは絶対に負けたくない」…五輪最終予選に闘志燃やすU-22代表FW久保

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 FW久保裕也は、リオ五輪出場を目指すU-22日本代表のエース候補である。

 高校3年にして京都サンガF.C.のトップチームに帯同した2011年には、リーグ戦30試合に出場して10得点。天皇杯準決勝と決勝の大舞台でゴールを決めるなど大物ぶりを遺憾なく発揮し、2012年には現役高校生としてA代表に選出されるなど脚光を浴びた。

 翌2013年に飛び込んだスイス・スーパーリーグでは名門ヤングボーイズのアタッカーとして結果を残し、1年目から34試合7得点と活躍。「注目の若手」としてFIFA公式HPで紹介されるなど、その存在は世界に知られるところとなった。

 スイスに渡って3年目のシーズンを戦う彼は、今、目の前にある大きな目標を見据えている。来年に控えたリオ五輪に出場し、結果を残すこと――。間もなく幕を開けるアジア最終予選を前に、その思いを語った。

チームが一つになれば
必ず予選を突破できる


――来年1月から、リオ五輪アジア予選となるAFC U-23選手権が始まります。まずは、リオ五輪に対する思いから聞かせてください。
「僕だけじゃなく、同じ世代の誰もが出場したいと思っている大会ですよね。予選に関して言えば、アジアでは絶対に負けたくない。U-20W杯予選(AFC U-19選手権2012)で準々決勝敗退という悔しい思いをしているので、あの二の舞いだけは絶対に避けたい」

――久保選手にとって五輪は、どんな大会でしょうか?
「今はもう、そのことしか考えていません。僕にとっては、目の前にあることが一番大事。だから、今の自分にとって最も大きな目標です。チームには昔から知っているメンバーもいるし、そういう選手たちと一緒に戦う楽しさもある。やり甲斐は大きいですね」

――U-20W杯出場を逃した悔しさは、その後の自分にどう活かされていると思いますか?
「もちろん、あの大会で味わった悔しさがすべてではないですけど、もっと成長したいと強く思ったことは間違いありません。海外でプレーしたいと思うきっかけにもなったので、結果的には、あの悔しさがプラスに働いていると思います」

――その当時の自分の“立ち位置”、アジアにおける日本の現状を知る大会となったわけですか。
「そうですね。あの頃は、当然のようにアジア予選を突破して、本大会に出場できると思っていました。だからこそ、結果を受けて『甘くない』と改めて認識した気がします」

――アジアを突破することの難しさを、どんなところに感じていますか?
「例えば、イランと韓国では全く違うサッカーをしますよね。その難しさもあるし、対戦する相手にもよると思うんですけど、日本が相手となれば、どの国も気持ちが入る。だから、甘い相手は一つもない。そう感じています」

――日本と対戦する際には、相手のギアが一段階アップする感覚がありますか。
「ありますね。だから、僕たちも、一段階アップした相手のギアを、さらに上回るギアで戦わないといけない。そうじゃないと勝てない。チームとしてまとまりながら、そういう状態に持っていくことができなければ、簡単には勝てないと思います。そこが大事だし、難しいところですね」

――今、チームの一員としてやらなければならないと感じていることは?
「まずは、選手としての僕の特長を、少しでも早くチームメイトに理解してもらうこと。僕自身はチームに参加している回数も少ないので、チームとしてまとまるためにも早く互いを理解しなくちゃいけない。でも、心配はしていません。“対日本人”であることを考えれば、一緒にプレーしたり、話し合うことでどんどん距離を縮めることができるので、問題はないと思います。プレーや戦術の面でも、気持ちの面でも、チームが一つになる。それができれば、必ず予選を突破できるはずです」

――なかなかチームに合流できないことで、「互いを理解する」ということに対する不安を覚えることはありませんか?
「そこはもう、仕方のないことなので、限られた時間でどこまで詰められるかの勝負だと思います。例えば(MF原川)力とか、京都時代のチームメイトに『どんな感じ?』と聞くんですけどね……。アイツら、俺の質問にちゃんと答えてくれないんですよ(笑)。とにかく、チームに合流したら、自分がやりやすい環境を作れるように頑張りたい。ポジションはどこでもいいんです」

――アジア予選、最後に勝敗を分けるのは?
「チームとしてまとまった上で、最後は、やっぱり個の部分。舞台とか相手に関係なく、フィニッシュの部分では個の力で打開しないといけないと思います」

――まさにその部分は、海外でのプレー経験で鍛えられたと実感しているのでは?
「向こうでは、特にチーム内のポジション争いが激しくて、試合前の練習でも平気で削りにきます。相手チームとの試合よりも、チーム内のミニゲームのほうが厳しいと感じるくらい。そういうメンタリティーは本当にすごいと思いますし、僕自身も体で覚えてきている気がします」

――約4年前の2012年2月、現役高校生にしてA代表に選出されました。あの頃の自分と比較して、変わったことは?
「大きく変わったのは、メンタル的な部分だと思います。以前は緊張から焦ってしまうことがあったんですが、今はほとんどなくなりました。ただ、最近思っているのは、もっとエゴを出してプレーしなきゃいけない場面もあるんじゃないかということです。日本でプレーしていた頃と比べれば、ドリブルで仕掛けてシュートまで持っていくようなプレーは明らかに少なくなりました。逆に、シンプルに預けて前に出るようなプレーが増えてきた気がするので」

――ただ、11月に行われたスイス・スーパーリーグ第14節のチューリヒ戦では、まさに“エゴ”を前面に押し出すプレーでゴールを決めました。サイドでボールをキープして、グンとスピードを上げて中央に切り込み、逆サイドのサイドネットにシュート。“フルパワー”の持続性を感じたゴールでした。
「はい。ずっと取り組んできたトレーニングの成果でもありますけど、あのゴールみたいに、自分で仕掛けてフィニッシュまで持ち込むようなプレーもどんどん増やしていきたいと思っています。もちろん、味方もうまく使いたい。今は、そういう部分に取り組んでいるところです」

――4年前の自分と比較して、“人間的な変化”は?
「そうですね……。あの、僕、極度の人見知りなんですけど、それが治ってきたかもしれません(笑)。これも、海外に行ったことによるポジティブな影響かもしれませんね」

――なるほど(笑)
「向こうでは自分から話さないと一人ぼっちになってしまいますから(笑)。表現することも、選手として必要。単純に、チームメイトとの仲が良ければミスをしても文句を言われないし、むしろポジティブな言葉を掛けられたり、助けてもらえる。自分のプレーがやりやすくなることは、間違いないと思います」

――そういう部分の考え方も、海外に行ったことで変化した。
「はい。監督に『もっと自分から話しに行け』『もっとコミュニケーションを取れ』と言われて、そう考えるようになりました。その変化は大きかったかもしれません。チームメイトとのコミュニケーションがうまくいけば、パスを出してもらえるようになるし、互いに何を考えているのかが分かる。だから、自分もやりすくなる。それによって生まれるゴールも、絶対にあると思います」

――これから先、頭の中にある未来像について教えてください。
「今はもう、五輪の予選で頭がいっぱいです。それだけで十分。僕はそう思っています」

――五輪予選を前に、ワクワクしていますか? それとも、緊張していますか?
「いや、もう、めっちゃ楽しみですよ。今はとりあえず、チームに合流するのが楽しみです。早く合流して、早く試合に出たい」

(取材協力 ナイキジャパン)


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