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柏でのラストマッチとなった吉田達磨監督「やってきた仕事については誇りを持っている」

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[12.29 天皇杯準決勝 浦和1-0柏(延長) 味スタ]

 今季限りでの退任と、来季からの新潟での監督就任が決まっている柏レイソル吉田達磨監督。チームが天皇杯準決勝で浦和レッズに敗れたことで、柏の監督としてのラストゲームになってしまった。会見に臨んだ吉田監督は「2016年をピッチで迎えることができず、とても残念です」とまずは浦和戦を振り返ると、自身初のJリーグ監督となった2015シーズンを回想した。

 トップからアカデミーまで同じスタイルを構築するというビジョンの下、柏のアカデミーで監督・コーチをと7年間にわたって務めた吉田監督が満を持して指揮を執ることになった今季。「サッカー的な基盤と、思想的な基盤をつくることが僕に課せられた大きな使命だと信じてスタートした」。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフという大一番が初陣となったが、ボールを支配して相手を崩していく新しいスタイルで勝利をつかんだ。JリーグとACLを並行して戦う中、「前期のうちにすべての選手を起用」(吉田監督)し、J1第1ステージは14位と苦戦しながらもACLは準々決勝に進出した。

「サポーター・ファンには『何を考えているんだ』という思いをさせたことも事実だと思いますが、続けていけば力はついてくるし、時間をかけてつくればつくるほど、揺るぎないものになってくるというのが、アカデミーで得た大きなひとつの方法論です」

 それでも第2ステージに入ると、7月から8月にかけて3連勝を2度記録するなど、上位につけていた。「徐々に結果につながり始めたのが8月くらいだったと思うんですけど、その辺りで僕の周辺がざわついてきて、選手の集中を削いでしまったかもしれないですし、(自分は)どんな批判にも耐えるということでスタートしたにも関わらず、グラッとなっていたのかもしれない」。9月に入ると、ACLとナビスコ杯での敗退に始まり、リーグでも白星から遠ざかると、10月28日はシーズンの終了を待たずに退任が発表された。

「時間をかけて毎日のトレーニングを大切にして、いずれ体が勝手に動くなるようになるまで、練習をして試合をして競争して、ということを繰り返しやってこれた自分の仕事は、間違ったことはしていないですし、いい仕事だったかは僕が判断することではない。間違った采配をしたことはありますし、違ったことをしたことはあるかもしれないですけど、仕事の姿勢、やってきた仕事については十分に誇りを持っていますし、何も恥ずかしがることはない。でも、結果がすべて」

 2003年から柏を支えた指揮官は「このクラブを離れることは残念」と明かすと、「腹の底からずっと感謝をしています」とサポーターへの想いも語った。

(取材・文 奥山典幸)

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