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[選手権]「思い出にする大会じゃない」初出場校、明秀日立が通算57勝の名門・四中工から全国初勝利!!

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[12.31 全国高校選手権1回戦 明秀日立高 2-1 四日市中央工高 駒沢]

 第94回全国高校サッカー選手権は31日に1回戦15試合を行い、明秀日立高(茨城)がFW本田光(3年)と交代出場FW小磯克文(2年)のゴールによって四日市中央工高(三重)に2-1で逆転勝ち。明秀日立は16年1月2日の2回戦で國學院久我山高(東京A)と対戦する。

 今大会出場校中最多の全国選手権通算57勝の名門を茨城の初出場校が撃破した。今夏の全国高校総体では高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグWESTに所属する履正社高(大阪)に1-4で敗戦。そこから全国トップレベルのチームに勝つことを目指してスピード、体力、強度にこだわって強化してきた。その明秀日立は萬場努監督が「(出場するだけで)思い出にする大会じゃない。記念の大会にするつもりはなかったので。勝負事は勝ち負けが全て。負けて讃えられることはあっても、勝たなければ自分たちの新しい扉は開いていかないだろう」と選手たちを送り出していたというが、見事に全国屈指の名門校に逆転劇。挑戦者らしいアグレッシブな戦いぶりで初陣白星を飾った。
 
 樋口士郎監督が「(立ち上がりから)大分おかしかったと思います。最終ラインのチャレンジアンドカバーが全く出来ていなかった。ロングボールを怖がってしまっていた」と首をひねった四日市中央工に対し、明秀日立は立ち上がり、ロングボールをエースFW吉田知樹(3年)や本田が収めてそこを起点にチャンスをつくった。5分には左MF林大地(3年)がPA方向へ縦パスを入れると、走りこんだ吉田がそのままPAへ切れ込む。その後も左サイドのスペースを突くと林の突破などからビッグチャンス。一方、四中工はサイドまでボールを運ぶものの、明秀日立は簡単にクロスを上げさせなかった。

 だが、四中工が19分に先制点を奪う。左タッチライン際での攻防で粘ったSB木下史也(3年)がスペースへ配球。これに走りこんだU-18日本代表MF森島司主将(3年)がダイレクトでクロスを上げると、ファーサイドのU-18日本代表FW小林颯(3年)が頭で先制点を押し込んだ。先制した四中工は24分にも森島が右中間から弾丸ミドル。GKが弾いたボールをMF上田航大(3年)が右足ダイレクトで押し込もうとするが、GK宮田英幸(3年)の正面を突いてしまう。失点後に崩れず、粘った明秀日立。萬場監督も「1点取られたところで踏ん張れたので、それは精神的に良かったと思います」と振り返っていたが、15分過ぎに「伊藤が(2列目では)抜け出せていなかった」と右MF伊藤駿介(3年)を最前線へ押し出し、キープ力が効いていたFW吉田を中盤へ下げたことも功を奏す。
 
 39分、左オープンスペースへ飛び出した伊藤が持ち味のスピードでDFを鮮やかにかわして一気にPAへ切れ込む。そしてゴールライン際から出されたラストパスをファーサイドの本田が右足でゴールへ流し込んだ。守備で粘ったことで、こだわりの突破の部分が引き出されて生まれた同点ゴール。そして後半、中盤での五分五分のボールをマイボールに傾け、また相手のキーマン・森島からのパスの出所をMF桜井太一(3年)やMF大野拓朗(2年)が良く封じていた明秀日立が流れを引き寄せる。前線でキープ力を発揮するエース吉田が仕掛けからシュート。四中工は森島のスルーパスから木下が決定機を迎えるシーンもあったが、突き放すことができない。

 迎えた後半28分、明秀日立は右サイドの深い位置へ押し込むと、SB秋山峻耶(3年)、伊藤とテンポよく左へ繋いでDFを外し、最後は交代出場の小磯が左足でゴールを破った。反撃する四中工は33分に交代出場のMF寺尾憲祐(2年)が右サイドを突破し、その折り返しを小林が右足シュート。さらに1分後には森島からのパスを中央で受けた小林が左前方へ運んでから左足シュートを打ち込む。だがGK頭上を突いたこの一撃はGK宮田がファインセーブで阻止。四中工は35分にも右CKをファーサイドのCB舘幸希(3年)が頭で合わせるが、負傷明けのCB石川慶人主将(3年)を投入して守りを固める明秀日立はここでもDFがゴールライン上でクリアしてリードを守り切った。

 試合終了の笛が鳴り響くと明秀日立イレブンは両腕を突き上げてガッツポーズ。小磯は「浅野(拓磨)選手の代で準優勝しているし、対戦決まった時は正直ビビっていました」と振り返ったが、その名門に名前負けすることなく堂々と戦い抜き、白星を勝ち取った。吉田は「マジで嬉しかったです。勝因は一人ひとりがやるべきことをやることできたから。みんな勝つつもりでいたので、勝てると思っていたので、良かったです」。選手権初出場で満足することなく、セットプレーやクロスからのゴール前の攻防で激しくぶつかり合って競り勝つことなど、全国大会で強豪に勝つためにこだわってやってきた。そして勝つために戦って掴んだ白星。桜井は東京の強豪・國學院久我山高と戦う2回戦ヘ向けて「最後まで前から行ければいい。そこが持ち味なので」。臆することなく戦い、また白星を掴む。

(取材・文 吉田太郎)
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