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[選手権]青森山田を追いつめるも…大社は逆転負けで27年ぶり勝利ならず

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[12.31 全国高校選手権1回戦 青森山田高3-2大社高 ニッパツ]

 27年ぶりの勝利にあと一歩届かなかった。4年ぶり9回目の出場で88年度大会以来の1勝を目指した大社高(島根)は2点をリードしながら、青森山田高(青森)に2-3の逆転負けを喫し、初戦敗退に終わった。

 理想的な展開だった。前半32分、DF園山栄樹(3年)の右クロスにファーサイドのFW桑垣誓広主将(3年)が頭で合わせると、こぼれ球を桑垣が自ら左足で流し込み、先制点。「相手の2センター(バック)はデカい。ニアの空いたスペースか、2人を越したファーを狙ってクロスを上げていこうと話していた」(桑垣)という狙いどおりの形だった。

 前半37分にはMF黒崎龍樹(3年)の絶妙なスルーパスに反応した桑垣が右足アウトサイドでワンタッチシュート。これがU-18日本代表GK廣末陸(2年)の股間を抜け、2-0とリードを広げた。「相手は格上で、自分たちのサッカーを制限されるかなと思っていたけど、自分たちのサッカーができて、2点取るまではいい流れでできていた」。優勝候補の一角である青森山田から2ゴール。手応えを深めた矢先に落とし穴が待っていた。

 前半終了間際の39分、警戒していたロングスローからこぼれ球を蹴り込まれ、2-1。1点差に追い上げられて前半を折り返すと、後半16分にミドルシュートで同点に追いつかれ、後半アディショナルタイム、再びロングスローから逆転ゴールを許した。

「前半の終わりと後半の終わりに点を取られて、最後の集中力が足りなかった。もう1点を取れなかったことも大きかった」。エースとして、キャプテンとして、チームを引っ張った桑垣は「FWとしては2点取れたことは良かったけど、キャプテンとしてはチームが勝利できなくて、まだまだ甘いなと思った」と唇をかんだ。

 スタンドでは現役時代に名古屋や川崎Fでプレーした中西哲生氏、なでしこジャパンのFW大儀見優季(フランクフルト)も見守っていた。中西氏は3年前から大社で“特別コーチ”を務め、年に数回ながら泊まり込みで選手の技術面を直接指導してきた。

 直前合宿でも中西氏の指導の下、大儀見らと汗を流したという大社の選手たち。桑垣は「中西さんは世界のゴールシーンをたくさん見ている。シュートを打つときは『最後まで状況を見て判断を変えろ』と言われていた。2点目の股抜き(シュート)は教わってきたことを出せたかなと思う」と感謝した。

「悔いがないというか、やっていても見ていても楽しいゲームができたと思うし、格上相手に自分たちのサッカーが通用する部分もあった。試合が終わってからの(観客の)拍手には感動するものがあったし、いい思い出になりました」。試合後、バックスタンドの応援団に挨拶する際は涙の止まらなかったキャプテン。それでも最後は気丈に振る舞い、胸を張った。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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