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[MOM1644]札幌大谷GK坂桂輔(3年)_攻守に持ち味を出したU-18フットサル代表候補、全国大会初勝利に導く

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 札幌大谷高 1-1(PK5-4) 鹿児島城西 NACK]

 1点ビハインドで迎えた後半5分、札幌大谷高(北海道)はペナルティーエリア内でMF西野尾基陽(3年)が倒されてPKを獲得する。大きなプレッシャーがかかる場面で、キッカーを務めたのは、GK坂桂輔(3年)だった。

 自ゴール前から、相手ゴール前へ。ピッチを横断しながら坂は、スタンドで声を枯らしている仲間たちのことを考えていたという。「PKを取ったとき、最初に頭に浮かんだのは、登録メンバーから落ちた選手たちのことでした。彼らのためにも、絶対に勝とうと思っていましたし、そのためにも絶対に決めないといけないと思っていました」と、振り返る。

 鹿児島城西高のGK下野和哉(3年)と対峙した坂は、ボールをセットしてPKを蹴る前のルーティンに入った。後ろに7歩下がり、そこから左に2歩動く。そして約20秒近く時間をかけて、ちょこちょこと細かくステップを刻みながら、GKの動きを見てボールの数歩前で少し加速して右足でシュートを打つ。

「自分がやられたらイヤなことをやろうと思っています。相手のGKを焦らす駆け引きで、意識してやっています」と、自ら『ちょこちょこPK』と命名した独特のPKについて説明した。このPKで札幌大谷は同点に追いつき、PK戦の末に鹿児島城西を破り、チーム史上初となる全国大会での勝利を手にした。PK戦でも相手のシュートを2本ストップした坂は、文句なしにこの試合のMOMだろう。

 PKの場面以外でも、坂はチームを大きく助けた。中学2年までフィールドプレーヤーで、FWを務めていたこともあり、相手のプレッシングにもまったく動じない。味方からのバックパスを受けてからプレスを掛けられた中でも、冷静にショートパスを味方につなぎ、チームを落ち着かせる。

 また、後半24分に相手選手と1対1になった場面でも、シュートを体に当てて決定機を阻止した。15年9月、初めて結成されたU-18フットサル日本代表候補に招集されたときに、学んだことが生きたのだという。

「至近距離からのシュートが下に来た場合は、手ではなくて、足で止めに行った方がいいというのは、フットサル日本代表合宿で学びました。サッカーでは手でセービングに行きますが、フットサルは足から行きます。最初は戸惑いましたが、それをサッカーにも生かすことができました」

 177センチとサッカーのGKとしては、決して大柄ではない。夏のインターハイで、「身長の足りなさを痛感した」という坂は、その後に出場した第2回全日本ユース(U-18)フットサル大会での活躍が評価され、U-18フットサル日本代表に招集された。2度の全国大会を経験し、選手権の舞台も緊張することなく臨めたという坂は、この大会後はFリーグのエスポラーダ北海道入団を目指すつもりだという。

 創部7年目での全国大会初勝利を呼び込んだ坂は、「歴史を一つひとつ積み重ねたくて、札幌大谷に入りました。全国大会、初勝利できましたが、これで満足せず、1戦1戦、勝利を重ねて、歴史を積み重ねていきたい」と、2回戦以降の戦いへの意気込みを語った。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 河合拓)
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