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[選手権]セットプレーで明暗!点の取り合い予想された強豪対決は尚志が1-0で京都橘撃破!

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[12.31 全国高校選手権1回戦 尚志高 1-0 京都橘高 駒沢]

 31日、第94回全国高校サッカー選手権1回戦が行われ、プリンスリーグ東北王者の尚志高(福島)と3年連続で8強以上の成績を残している京都橘高(京都)との一戦は1-0で尚志が勝利。尚志は16年1月2日の2回戦で駒澤大高(東京B)と戦う。

 尚志の仲村浩二監督は「良くて2点くらい取られて、どうにか3点くらい取って勝ってほしいと……打ち合いになるんじゃないかと思っていたんですけど、橘さんの攻撃は速いけれど1対1で粘り強く戦えたと思います。DFが粘り強くやってくれたと思います」と振り返る。プリンスリーグ東北18試合で69得点を叩き出している尚志とすでにJクラブによる争奪戦がスタートしているU-18日本代表FW岩崎悠人(2年)を擁する京都橘。京都橘の米澤一成監督も「お互いにオフェンシブになるかなと思った」という試合は、互いの持ち味でもある堅守速攻の部分が強調される堅いゲーム展開となった。

 その試合の勝敗を左右したのはセットプレーだった。前半13分、尚志はMF佐藤凌輔(3年)が右CKを蹴りこむと、ファーサイドから飛び込んだCB茂木星也主将(3年)が対応したDFの頭上、また飛び出したGKの手の先から豪快なヘディングシュートを叩き込む。京都府大会準々決勝以降の3試合連続でCKから失点しているという京都橘にとっては課題克服に努めてきた形で取られてしまう痛恨の失点。その後、京都橘はボールを支配しながら攻撃していたが、尚志は茂木と井出隼人(3年)の両CB中心に堅く、ボールを奪うとCFの國本佳以(3年)やパワフルな左FW柳原隆ニ(3年)がよくボールを収めて押し返す。岩崎を軸としたカウンターが脅威の京都橘だが、どうしてもボールを奪う位置が低くなってしまい、また佐藤と清水祐貴(3年)のダブルボランチが献身的な挟み込みを見せる尚志の好守の前に、速攻でドリブルスピードに乗ることができず。いい形でのカウンターに持ち込むことができなかった。
 
 尚志は後半12分に井出が足を攣らせて交代を余儀なくされたものの、代わってピッチに入ったCB林純(3年)も奮闘。相手の突破に対してうまく体を入れ替えるなどゴールを守り続ける。そして尚志は左SB茂原巧朗(3年)の精度の高いクロスから國本が決定的なヘッドを放ち、FW小野寛之(3年)がスペースへの抜け出しから決定的なラストパスを入れるなど追加点の予感をさせていた。京都橘もケガの影響でベンチスタートとなった技巧派MF堤原翼(2年)が後半10分に投入されたことで攻撃が好転。収まりどころを増やしたチームはセットプレーの数を増やしてCB小川礼太主将(3年)がロングスローを連発。だが、尚志はプレミアリーグ参入戦の新潟明訓高戦でCKから2失点を喫し、静岡合宿で連日セットプレーのトレーニングをしてきた成果を発揮する。

 京都橘同様、尚志にとってもセットプレーは課題だった。だが佐藤は「(静岡合宿で)1日3部練とかやる日があったんですけどその1つは必ずセットプレーに費やしてきました。セットプレーでゼロに抑えるかどうか。守備の部分はチームとして誰が出てもいいように。きょうは交代もあったけれどそれでもマークがずれずに統一して出来たと思います」と胸を張る。DFがしっかりとボールの正面に入ってクリア。仲村監督が「神様が選手権へ向けてくれた課題だった」と口にしたセットプレーで尚志は得点を許さなかった。

 京都橘は終了間際にビッグチャンスを作ったが、41分にインターセプトからMF稲津秀人(3年)が出したスルーパスが岩崎に通るもPAで切り返して放った岩崎の右足シュートはGK石塚亮(3年)がキャッチ。42分には岩崎の気迫の突破から最後は堤原が決定的な左足シュートを放ったが、枠を捉えられなかった。そして試合終了。仲村監督が「走るトレーニングとか嫌がらないのでボクにとっては楽しい。日本一取るためにやろうと言ったら、『やろうぜ』っていう明るくて良いチーム」と評する今年の尚志は、例年に無いほどの練習量によって成長してきたチームだ。茂木は「今まで前線のやつも守備サボる感じがあったけれど、選手権前の合宿では一人ひとり守備が大事と分かっていたんで監督もそれを意識した練習をやってくれた。それがきょうの無失点に繋がった」。この日、粘り強く戦い抜いた尚志は守備意識高まり、課題を改善した姿も示して強豪対決を“予想外”の1-0で勝ち切った。

(取材・文 吉田太郎)
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