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[選手権]まさかの1-7…野洲FW村上「まだこのチームでやりたかった」

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[12.31 全国高校選手権1回戦 聖和学園高7-1野洲高 ニッパツ]

 泣き崩れる選手たちの嗚咽が止まらなかった。1-7。野洲高(滋賀)がまさかの大敗を喫した。

 互いに高い個人技を武器とした聖和学園高(宮城)との一戦は、組み合わせが決まった直後から“セクシー対決”として大きな注目を集めた。野洲の山本佳司監督は「チケットが完売したと聞いて、会場に入れずに帰る小学生もいたと聞いていた中で、もうちょっと……」と口を開くと、思わず言葉に詰まった。目にうっすらと浮かぶ涙が“衝撃”の大きさを表していた。

「不用意な中盤でのミスから失点して、なかなかかみ合わなかった。相手は決めるところを決めて、あんなにチャンスが全部決まるなんてなかなかないけど……。相手の力は分かっていたし、個人技が高いのも分かっていた。その中で何で戦うか。“野洲がリトリートしても”という話。それが裏目に出た」

 真っ向勝負でぶつかり、野洲もチャンスをつくった。シュート数は聖和学園の10本に対し、野洲も9本。10本のうち7本を得点につなげた聖和学園の決定力が、ドリブルという個人技以上に光った一戦だった。

 セクシーフットボールで05年度大会を制した野洲だが、その後は最高でもベスト16止まり。過去2大会は全国出場も逃し、今大会が3年ぶりの出場だった。FW村上魁(3年)は「初めての舞台で緊張している選手もいた。その中で自分がどれだけ引っ張れるかと考えていたけど……」と唇をかんだ。

 村上、MF林雄飛主将(3年)ら中学時代からセゾンFCでともにプレーしてきた選手たちにとっては、6年間の集大成とも言える大会だった。「6年間、一緒にやってきて、しゃべらずとも分かる選手がたくさんいる。まだこのチームでやりたかった。悔しいです」。村上は真っ赤に晴らした目で率直な胸の内を吐露した。

 現高校3年生は2020年の東京五輪を目指す世代でもある。山本監督は「オリンピックで、世界で活躍できるような選手に、これをバネにするぐらいの選手になってほしいと。それだけは最後に伝えた」と、“最後のロッカールーム”で送ったメッセージを明かし、今後の成長への糧となることを願っていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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