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[選手権]終了間際の豪快ヘッド!矢板中央、逆転で2回戦へ!

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[12.31 全国高校選手権1回戦 矢板中央高 2-1 大分高 等々力]

 後半終了間際にゴールを挙げた矢板中央高(栃木)が大分高(大分)に逆転勝ち。矢板中央は、2016年1月2日の2回戦で鳴門高(徳島)とニッパツ三ツ沢球技場で対戦する。2011年度大会でベスト4に勝ち進んだ実績を持つ大分は先制点こそ奪ったものの、最後に悲劇が待っていた。

 大きな得点チャンスが引っ込んでは顔を出すような前半だった。両チームとも初戦でも関係なく、自分たちのサッカーを見せる。

 矢板中央はDF星キョーワァン(3年)、DF川上優樹(3年)の2大CBを筆頭に身体能力に優れた個で勝負。そして大分はピッチに次々と線を引いていくような流れのあるパスワークで勝負。戦前期待された通りの持ち味がそこかしこに現れる。前半は、チャンスの数は矢板中央が上回ったように見えたが、かといってペースを引っ張り返すだけの鋭さも大分の攻撃には潜んでいた。

 互いに得点の気配がありつつ決めきれず、前半も終わろうかという40分、試合が動く。大分のDF工藤駿(2年)が右サイドに進出、そのクロスをFW古田武尊(2年)がヒールで上手く合わせ先制ゴールを挙げた。

「うちは今年で3年連続出場ですが、2年前は初戦の前半5分間で3失点し、昨年も初戦の前半に2失点しました。またか、と悪夢がよぎりましたが、1年生時から試合に出ている選手もいるので逆に冷静になれました。ハーフタイムは、このままじゃ終われない、走り切って自分たちの特徴を出そうと話しました」(矢板中央・高橋健二監督)

 前半終了間際の失点。点の奪われ方としては最悪だ。しかし、矢板中央の試合プランは「後半勝負」だった。星と同じくコンゴ人の父を持つハーフ選手、FW森本ヒマン(3年)がベンチに控えていたのがその証拠だ。

「森本はヒザを長期間ケガしていて、1試合もつかどうかという状態。迷いましたが後半勝負で行こうと」高橋監督が語るように、後半開始から出場した森本は11分、期待に応える。「うちの武器の一つ」(高橋監督)というDF真下瑞都(2年)のロングスローを、相手DFのマークをものともせず頭でゴールへ。大分の朴英雄監督が「技術やポゼッションで来るチームなら跳ね返せるが、今日は…手で投げられるスローインにはまいった」と脱帽の飛び道具で同点に追いつく。

 大分も黙ってはいなかった。パスワークがハマるとテンポもあいまってスピードに乗り、イッキに得点の気配を感じさせる。さらに、相手をかわしにかからず、球際ではデュエルする姿勢も目立った。だから同点に追いつかれても勢いを相手に渡し切らなかった。

 そして迎えた後半40分。左CKを得た矢板中央はこちらも途中投入のFW人見拓哉(3年)がキックを蹴る。大分のマークは当然、森本と星に集中。しかし、ボールは彼らが構えるファーでなくニアへ。そこへ飛び込んだ真下が豪快なヘディングを決めて試合を決した。矢板中央サイドからすれば、前半終了間際にやられたことを、後半終了間際にやりかえした形だ。
「後半勝負で前半はロースコアの展開に持ち込む。先制はされましたが、結果的にプラン通りでした。うちはセットプレーが得点源。決勝ゴールの形もいくつかあるうちのパターンのひとつでした」と高橋監督も満足気だ。

 大分の朴監督は「相手の方がたくましかった。スローインを武器にするようなサッカーもありだな、と。負けて悔いがあるわけではないですが、1、2年生が多いチームなので、これから今回のようなサッカーをしてくる相手に対応できるようにしたい」と早くも課題を発掘。先制点を決めた古田も「後半は森本選手に好き放題やらせてしまった。自分たちはまだ走り込みがたりない。全国では体の強さの必要性を痛感しました」と試合を振り返る。どうやら、チーム全員に共通して見えてきた課題があるようだ。

 一方、「星、川上、真下、森本…。身体能力の高い特徴あるおもしろいチームになった」と高橋監督は言う。声も非常に出るチームでもある。その身体能力と強い気持ちが合致した時、この試合のような劇的シーンを生み出す可能性は高い。ポテンシャルが高いことはわかった。あとは全開となるかどうか。それが選手権上位進出のカギとなる。

[写真]勝利を喜ぶ矢板中央の星(左)と森本
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文/伊藤亮)


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