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[選手権]大迫越え掲げるFW小川が2発!焦れずにスタイル発揮の桐光学園が3-0発進

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[1.2 全国高校選手権2回戦 桐光学園高 3-0 長崎南山高 等々力]

 第94回全国高校サッカー選手権は2日、2回戦を行い、等々力陸上競技場(神奈川)の第1試合では地元・桐光学園高長崎南山高(長崎)が対戦。来季ジュビロ磐田へ加入するU-18日本代表FW小川航基主将(3年)の2ゴールとMイサカ・ゼイン(3年)のゴールによって桐光学園が3-0で快勝した。桐光学園は3日の3回戦で青森山田高(青森)と戦う。

 U-18日本代表のエースFW小川擁する優勝候補の一角、桐光学園と長崎の初出場校・長崎南山との一戦は桐光学園が勝利した。長崎南山は前半7分にFW早川祥平主将(3年)が左サイドの角度のないところから放った左足クロスがゴールすれすれの方向へ飛んだが、その後は桐光学園が圧倒的にボールを支配。セカンドボールも収めて完全に長崎南山を敵陣に押し込んだ。

 この日、桐光学園はボールを握ることを想定した中で攻撃的な布陣を組んでいた。鈴木勝大監督が「ボール動かしていくところと、出し手のところが必要だと思ったので。安田の先発は良かったと思います」と評した技巧派レフティーMF安田光希(3年)や、10番MF鳥海芳樹(2年)、イサカ・ゼインらのアイディアや、左SBタビナス・ジェファーソン(2年)のパワフルな突破、また2対1の状況では足裏パスでのスイッチを多用してサイドの局面を何度も切り崩し、決定的なシーンを作り出す。22分には左MF西川公基(2年)がDF2人の間を割って入ったが、これは飛び出した長崎南山GK藤岡柊太(3年)がストップ。27分には右アーリークロスをファーサイドの小川が胸コントロールして抜け出す。だがこの場面もシュートは距離を詰めた藤岡にブロックされてしまう。

 桐光学園は29分に左サイドから仕掛けたイサカ・ゼインと入れ替わって抜けだした小川が強烈な左足シュート。だが、GK正面を突き、こぼれ球にフリーで反応したイサカ・ゼインのヘディングシュートも枠上へ外れた。長崎南山は押し込まれる展開の中で苦しいクリアが続き、前線でボールを収めることができない。それでもDF佐名隼人(2年)やDF太田晃輔(2年)がシュートブロックし、そしてクロスに対してほぼパーフェクトな対応していた藤岡の健闘もあって無失点で前半を折り返す。

 長崎南山の村里英樹監督は「前半は予定通り」と振り返る。だが圧倒的にボールを持たれる中での試合は「ボディーブローのように効いてきた」。逆にハーフタイムに「攻めている時のリスクマネージメントとクロスへの入り方。ここに対しての2つの修正ポイントを強く伝えました」と鈴木監督が説明した桐光学園が後半にスコアを動かす。9分、右サイドでのコンビネーションから浮き球パスを受けた鳥海が一気にDF2人を置き去りにして中央へ折り返すと、ニアサイドの小川が右足ダイレクトでゴールへ流し込んだ。鈴木監督の指示通り、ニアで勝負した注目エースのゴールで桐光学園が先制した。「あれはウチが練習通り積み重ねてきたこと、そして追求していること。これが形となって現れたことは自信になりますし、彼らにとっても大きな1点だと思います」と鈴木監督。取り組んできた形でリードを奪った桐光学園は13分にも安田の右CKにCB小林陸(3年)が競ると、こぼれ球をイサカ・ゼインが頭で押し込んで2-0と突き放す。

 その後も小川の左足シュートやヘディングシュートなどシュートシーンを連発。対する長崎南山も左MF田川瑞己(2年)のスピードを活かした攻撃など見せるが、桐光学園は小川が「守備が集中してくれたので感謝している」と振り返った守備陣が、相手をPAに近づけることなく被シュートゼロの完封。逆に31分には、交代出場のMF田中雄大(1年)のスルーパスで抜けだしたイサカ・ゼインがPKを獲得し、これを小川が右足で決めて3-0とした。

 FW大迫勇也(現ケルン)の1大会最多得点記録10得点(首都圏開催移行以降)更新を狙う小川の2発。また、引いてきた相手に対しても、鈴木監督が「サイドでの2対1とかコンビネーションが高まったんじゃないかなと思います」と語ったように、桐光学園は狙いとする形で崩してゴールをこじ開けての快勝だった。そして小川は「神奈川県予選よりは成長したところが見えた。県の初戦(対桐蔭学園高、1-0)は焦って蹴ってしまったり、自分のサッカーやらずにいつもと違う桐光学園が見られたところがあった。でも、強く桐光スタイルというところをチーム内で共有できたのは良かった」。アグレッシブにハードワークして、攻撃の部分ではパスで崩しながらコンビネーションで崩していく今年の桐光スタイル。焦れずにそれを出した優勝候補の一角が3-0で大会をスタートした。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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