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[MOM1660]駒澤大高GK鈴木怜(2年)_1回戦のリベンジなるPKストップ!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権1回戦 駒澤大高0-0(PK3-0)尚志 駒沢]

「鈴木は開幕戦でPKを入れられていたので、昨日の練習の時に傷つくことをチクっといったんです。5年前の開幕戦ではGKがPKを止めて新聞の一面になったんだぞ」と。そうはっぱをかけたのは駒澤大高(東京B)の大野祥司監督。言われたのはGK鈴木怜(2年)だ。

「開幕戦で決められたPKは触ってはいたんです。なので今日は(PK方式で)絶対に止めてやろう、と。1本目も絶対に止める、と。キッカーは気持ちが入っていると思ったので、自信を持ったコースに蹴ってくるはず。右利きなら、左に蹴ってくるだろうと思ってました」。尚志高(福島)の1番手キッカー・DF茂木星也(3年)の「左下のコース、あそこしか蹴ることを考えてなかった」という狙いに合致した。横っ飛びでボールを抑え、チームに安堵と勢いをもたらせた。結果、2本目、3本目の尚志のキックはゴールの枠をとらえきれずはずれ終戦。結果として1本目のストップが効いた。

 小学生2年にサッカーを始めてからGK一筋。駒澤大にはGK島崎智成(3年)、GK江口達也(3年)という2人の3年生GKがベンチに入るが、先輩の思いを受けて2年生ながらゴールマウスを守る。「先輩たちは悔しい思いをしているでしょうけど、練習でも手を抜かず全力の姿勢を見せてくれています。だから、僕も先輩たちが納得するプレーをしなければいけない。今日もPK方式前に『お前ならできる』と声をかけてくれました」

 PK方式に臨む前には、ひとつ大きな声を出して、自分に喝を入れた。「声を出すのは試合中に味方に指示を出す役割もありますが、自分の気持ちを高める役割もあります」。そして意識していたことがもうひとつ。「開幕戦の時はボールが見えてなく落ち着きがなかった。今日はボールをよく見て落ち着くことを心がけてました」。落ち着くためにしているルーティーンがひとつある。すねあてを1回いじることだ。「試合中も時々やりますし、勝手にいじっていることもあるのですが(笑)、でもそうすると落ち着くんです」

 監督の思いも先輩の思いも、そしてホームの大歓声も背負って防いだPK。開幕戦のリベンジも果たした。もはや残っているのは、新たな、プラスとなる一歩だ。「今日の試合は個人的にふがいありませんでした。ハイボールの対応も、キックの質も。みんなが頑張っていたのに自分はダメだった。自分は活躍できなくていい。でも納得のできるプレーで全国で勝ちたい」。そのチャンスは勝利したことでまだ続く。次の一歩は、同校最高成績となるベスト8――新たなる歴史の1ページだ。

(取材・文/伊藤亮)
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