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[MOM1666]國學院久我山GK平田周(1年)_不合格セレクションから導かれた天職

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 國學院久我山2-2(PK3-1)明秀日立 味フィ西]

 PK戦に入るに当たって、GKコーチからGK平田周(1年)にメモが渡された。「何番がこっちに蹴るという感じの指示でした」。データはやや古いものと話したが、コースはばっちり。2本目のDF石川慶人(3年)のシュートを右に飛んで止めると、3本目のDF小池架惟斗(3年)のシュートは左に飛んでストップ。「久我山に入ってからは初めてのPKストップ」と話す1年生GKは、「自分が1本止めれば勝てるんだと思っていた」と胸を張った。

 1年生にして強豪校のゴールマウスを託される平田だが、GK歴が始まったのは中学生になってからだった。出身のFC東京U-15むさしのセレクションを受けた際は、小学校時代のポジションであるCB。しかし結果は1次選考で不合格だった。

 ただ、そんな平田に思いもよらぬ知らせが舞い込んだ。本来、セレクション不合格者にはハガキで結果が伝えられるのだが、平田にはクラブから直接電話が掛かってきた。そしてその知らせに平田は耳を疑った。「GKとしてセレクションを受けてみませんか」。

 平田の才能を見出したのは当時コーチを務めていた濱田照夫氏。平田がFC東京U-15むさしに入団すると同時に入れ替わりとなってしまったが、「選んでもらったからには何かが自分にはあるんだと信じながらやっていた」と感謝を語る。

 そして身近にライバルがいたことも幸運だった。FC東京U-15むさしの1学年上に、現在はユースに昇格し、今季はトップチームに2種登録もされたGK波多野豪、そして兄弟クラブのFC東京U-15深川の1学年上で現在は青森山田高の守護神として君臨するGK廣末陸(2年)。ともに世代別日本代表の常連だ。

 中でも同じ高体連に籍を置く廣末の活躍は、平田の闘志に火をつけた。すでに國學院久我山進学が決まっていた中学3年生の時の高校総体。「1年生で注目を浴びていて。自分も来年この舞台に立とうと刺激になっていた」。そして1年後に迎えた同じ全国の舞台。平田は選手権で、1年生ヒーローになってみせた。

「高校からプロになることもあるが、久我山でやるということは大学もあるという未来が見える。しっかりここでの結果を大切にしていきたい」。1年生とは思えない、冷静な自己分析もできる。スーパールーキーの可能性は無限大に広がっている。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 児玉幸洋)
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