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[MOM1668]青森山田DF北城俊幸(3年)_強さの源!主役級が全うする“黒子”の役割

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 青森山田高 5-0 聖和学園高 等々力]

 持ち場の左サイドから大きく飛び出して中央含めて広範囲に走り回った。聖和学園高のドリブル攻撃の前に何度も立ちはだかった青森山田高のキャプテン。黒田剛監督も「持っているもの全てを出してくれた。パーフェクトだった」というほどの80分間を演じた左SB北城俊幸主将(3年)が文句なしのマン・オブ・ザ・マッチだった。

「きょうは気づいたら試合が終わっていたくらいの気持ちで。もっともっと走れたんじゃないかなというくらい、ランナーズハイじゃないですけど、自分自身、集中力も高まった中でチームのために“黒子”ではありますけれど守備に徹することが出来たと思います」。素直にこの言葉を発することができたほど彼は“黒子”として走って、戦った。「(聖和学園は)ドリブルが一人ひとり上手いので、あそこで引いてしまうと相手を乗らせてしまう部分があったので、絶対に長所を出させないように前から守備するのは意識していました。みんな凄く良い守備のイメージを共有しながら出来たと思います」。チームを奮い立たせたDFの姿は初戦2失点だった守備の立て直しという面でも非常に大きかった。

 その献身的な走りはゴールにも結びついた。前半9分、左サイドをワンツーで打開した北城が左足でクロスを放り込む。これをファーサイドから飛び込んだMF豊島祐希(3年)が合わせて先制点。北城は後半23分にもゴールの起点となる。自陣でインターセプトした北城はボールを奪った勢いそのままにスペースへ完璧なパス。これで2対1の状況をつくった青森山田はMF神谷優太(3年)のラストパスをFW鳴海彰人がダイレクトで決めた。ファインゴールを連発したチームの中でそのプレーは派手ではなかったかもしれない。それでも北城のできる限りのプレーが白星に近づけたのは間違いない。

 青森山田高は北城が小学6年生だった09年度の選手権で準優勝。それを見て青森山田中に進学したDFにとって選手権は憧れてきた場所だ。「自分の憧れの舞台に6年かけて立てているという感じで幸せを感じています」という舞台で目指すのは日本一しかない。「(青森山田は)まだ選手権では優勝したことないので。6年間お世話になった(黒田)監督を胴上げしたい」。北城は今大会を代表する左SB。主役級のDFは目標を果たすため、チームの勝利のために進んで“黒子”の役割を全うしている。

 北城は同じくレギュラーとして日本一を目指して初戦で敗退した昨年の悔しさを忘れず、それをチームメートに伝えてきた。「去年は自分たちのサッカーっていうのを上手く出しきれないまま負けてしまった。相手がどんどん強くなっていくんですけど自分たちのサッカーを出せないで負けるほど悔しいものはないと思う。結果はあとからついてくるから、今やるべきことだったり、今年一年間チームで積み重ねてきた戦い方を徹底してやって、その結果どうなるか。最後、やれば必ず勝てるというふうに伝えました」。どんな時も山田のサッカーを必ず表現すること。それを今大会やり通す。そのために主将は走り続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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