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[選手権]U-18代表候補GK脇野がPK2本セーブ!!全国総体決勝の再戦制した夏の王者・東福岡が8強進出!!

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[1.3 全国高校選手権3回戦 東福岡高 0-0(PK4-3)市立船橋高 フクアリ]

 全国高校総体決勝の再戦は再び東福岡がPK戦制す! 第94回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦を行い、全国高校総体優勝の東福岡高(福岡)と同準優勝の市立船橋高(千葉)との一戦は0-0で突入したPK戦の末、東福岡が4-3で勝利。07年度以来8年ぶりのベスト8進出を果たした東福岡は5日の準々決勝で駒澤大高(東京B)と戦う。

 日本一を懸けて戦った夏と舞台は、違う。だが、夏以上にハイレベルな攻防戦が展開された3回戦のビッグマッチ。夏と同じくPK決着となった熱戦は再び東福岡が制した。互いに譲らず、0-0で突入したPK戦。東福岡のU-18日本代表候補GK脇野敦至(3年)が後攻・市立船橋2人目のMF工藤友暉(3年)のキックを右へ跳んでストップする。この後、互いに全員が決めて迎えた5人目、相手キッカーを迎え撃つ市立船橋GK寺尾凌(3年)が雄叫びを上げると、地元・市立船橋を応援するスタンドからは「頑張れ!」という声と拍手が沸き起こった。そして、重圧の中で左足を振りぬいた東福岡MF三宅海斗(3年)の左足シュートを寺尾が右へ跳んで両手でストップ。九死に一生を得た市立船橋はベンチの選手たちがタッチラインから飛び出して守護神を祝福する。だが直後、膝を地面について悔しがる三宅に「まだ終わっていないから。オレに任せてくれ」と声をかけたという脇野が市立船橋5人目のCB杉岡大暉(2年)の左足キックを右に跳んで止めると、一瞬静まり返った会場の中で東福岡イレブンが喜びを大爆発させた。

 試合は前半5分、市立船橋が先にチャンスを掴む。カウンターから空いた中盤を持ち上がった工藤が縦へラストパス。DFの前に入ったMF押尾大貴(3年)の左足シュートがゴール右ポストをかすめた。市立船橋は前線で繰り返し背後を狙うFW矢村健(3年)に9分、21分といい形でボールが入ったほか、ボールを奪った勢いで推進力溢れるカウンターでチャンスをつくるが、21分の決定機はGK脇野に距離を詰められてしまうなど得点に結びつけることができない。24分にも右サイドから押尾が入れたラストパスに矢村が反応するが、これもわずかに合わなかった。

 森重潤也監督が「市船のパワー、スピードで互角の勝負に持っていってしまったら負けてしまうと思うので、ウチなりのペースに相手が合わせてもらったらいいなと思っていた」という東福岡は局面でMF中村健人主将(3年)やMF橋本和征(3年)らが人数をかけてダイレクトパスを多用した崩し。そして新潟明訓高戦3発のFW餅山大輝(3年)が前線でポイントになり、中村の非常に正確なサイドチェンジで相手の守りを揺さぶった。36分には自陣FKからのクイックリスタートでDFの背後を突いた餅山が決定的な左足シュート。だが市立船橋は寺尾が至近距離からの一撃はスーパーセーブして得点を許さない。

 止める、蹴る技術互いに高く、ミスの少ないゲームは球際の攻防も激しく、ファウルで試合が止まってもすかさずリスタートが切られて流れがなかなか途切れない。目を離すことができないようなスピーディーな攻防の中、市立船橋MF椎橋慧也主将(3年、仙台内定)が身体を投げ出してシュートブロックし、左SB古屋誠志郎(3年)や右SB原輝綺(2年)がサイドでの1対1で強さを発揮。東福岡もCB{福地聡太}}(3年)が工藤の決定的なシュートをブロックするなど互いに好プレーが随所に見られてあっという間に40分に終えた。

 東福岡の中村が「(夏に比べて市立船橋は)大分質が高くなっていた。(ボールが)全然取れなかったです」と評し、市立船橋の椎橋も東福岡の守りが堅くゴールを破れなかったことを悔しがる。互いに夏からの成長を認めあった試合は後半11分、市立船橋が先に動く。椎橋に代えて山形内定の快足FW永藤歩(3年)を投入。すると東福岡も今大会ケガでベンチスタートの全国高校総体得点王MF藤川虎太朗(2年)をピッチへ送り出す。互いに攻撃カードを切る中、チャンスを増やしたのは市立船橋だった。16分に工藤が右サイド後方から蹴りこんだFKを杉岡がクロスバー直撃のヘディングシュート。そしてCB児玉慎太郎(2年)が距離を取った対応をする中でもシュートを打ち切る、クロスを上げきることをやり切ろうとしていた永藤が終盤に存在感を示す。だが30分に古屋からのパスを受けてマークから遠ざかりながら放った右足シュートはわずかに枠外。39分には交代出場のMF西羽拓(2年)が右サイドでDFを抜き去ってPAへ侵入し、マークを外した永藤へラストパスを通すが背番号10の右足は合わせられずに空を切った。

 終盤に大きく傾きかけた試合は0-0で後半終了。両校の健闘を讃える大きな拍手が起きる中突入したPK戦の末、東福岡が3回戦進出の権利を手にした。市立船橋の朝岡隆蔵監督は「この試合でやったことはすべてやったし、今でも後悔はない。悔いもないし、失敗したなというのはない。ただ残念」と語り、椎橋は「悔しいだけです。結果がすべて。(いい試合をしても)最後勝っているのが東福岡なんで」。頂点への挑戦がここで終わったことを残念がった。一方、東福岡の中村は「守りのところの粘り強さ」を夏から成長した部分として挙げ、森重監督は「次に勝ち上がれてホッとしています」と口にした。大一番を乗り越えて2年連続敗退していた3回戦突破。東福岡が夏冬連覇へ一歩前進した。

[写真]PK戦で東福岡GK脇野がPKストップ

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
 
(取材・文 吉田太郎)
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