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[選手権]一発レッドが完全に流れを傾ける…星稜が国見以来の4年連続4強へ

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[1.5 全国高校選手権 星稜3-0明徳義塾 駒沢]

 第94回全国高校サッカー選手権大会の準々決勝が5日に行われた。駒沢陸上競技場の第2試合では連覇を目指す星稜高(石川)が明徳義塾高(高知)を3-0で下し、4年連続のベスト4に勝ち残った。9日に埼玉スタジアムで行われる準決勝では、夏の総体王者・東福岡高と対戦する。

 星稜が4年連続4強進出という快挙を成し遂げた。4年連続は2000年から国見高が5年連続を達成して以来。「凄いことですよね」と他人事のように話す河崎護監督。小峰監督と肩を並べましたねと問われると、「まだまだ。体重も半分くらいですし」と冗談を飛ばし、笑いを誘った。

 ただ試合は序盤から明徳の勢いに押されていた。前半10分にはCKをDF舛田凱(2年)にボレーで合わせられるなど、シュートは枠上に外れたが、セットプレーから何度もピンチを迎えてしまった。

 しかしワンプレーが流れを完全に星稜に傾けた。前半28分、MF大橋滉平(3年)から出たパスで裏に抜けたFW根来悠太(3年)がエリア内に侵入。すると後ろからブロックに入ったDF濱口俊介(2年)と接触。星稜にPKが与えられると、濱口には決定機阻止でレッドカードが提示された。

 MF阿部雅志(3年)が豪快にPKを蹴り込んで先手を奪うと、星稜が混乱する明徳義塾を畳み掛ける。前半35分のゴール前でのチャンスはGK六倉葵(2年)の好セーブに阻まれたが、同40分、左サイドを攻略すると、DF六田邦宏(3年)のクロスをFW大倉尚勲(3年)が頭で叩き込み、リードを2点に広げた。

 明徳も混乱を抑えようと、前半31分にDF近藤大地(3年)、ハーフタイムにはMF土家壮太(2年)を入れて修正を図る。ただ、10人で流れを取り戻せるほど、甘くはなかった。後半14分、DF助田航平(3年)に右サイドから上げられたクロスを競り合いの中で大倉に頭で当てられ、最後はファーサイドでフリーで待っていた阿部に豪快に左足を振り抜かれてしまう。「PKは仕方がないが、一発レッドで混乱した。バタバタしてしまった」と、小松晃監督はレッドカードの場面を悔やみきれない様子で話した。

 快勝で埼スタ行きを決めた星稜だが、指揮官は今季のチームに当初、ここまでの力があるとは思いもしなかったと話す。昨年度の優勝を決めたレギュラーメンバーはほぼ卒業。河崎監督は今季最初に掲げた目標が「全員で優勝旗を持っていくことだった」と明かす。それでも夏の総体3回戦で履正社に0-3で敗れて以降、悔しさをバネに急成長。「まさかここまで来れるとは。運もあったが、チームの力がついてきている」と頬を緩めた。

 連覇へ向けあと2つとなったが、次は監督以下イレブン全員が最大の難所と認める東福岡戦。「やっぱり脅威。運が200%くらいないと勝てない」と相手を称える河崎監督だが、簡単に負けるつもりはもちろんない。中3日となることもプラスだと話した指揮官は、「ワクワクするような相手。一生懸命やるだけ」と静かに闘志を燃やしていた。

(取材・文 児玉幸洋)
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