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[MOM1681]星稜MF阿部雅志(3年)_優勝でも悔しい…昨年の思いが4強への力に

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全国高校選手権 星稜-明徳義塾 駒沢]

 ピッチ上の混乱が伝わってきた。前半28分、エリア内に侵入した星稜高のFW根来悠太(3年)に対し、DF濱口俊介(2年)が体を当てて倒してしまう。判定レッドカード。やや厳しいかと思える判定に、選手たちは動揺した。

 ただ、ペナルティースポットに立ったMF阿部雅志(3年)は毅然とした態度でボールをセットする。「PKはずっと練習してきた。自信はあったので、緊張することなく蹴ることが出来た」。周囲の空気に惑わされず右足を振り抜くと、強烈シュートはゴール右隅に突き刺さった。

 そして試合を決めるダメ押し点も阿部が奪った。後半14分、右サイドから上がったクロスを競り合ったFW大倉尚勲(3年)が頭に当てて落とすと、待ち構えた阿部が力強く左足を振り抜く。「しっかりボールに足を当てることが出来てよかった」。河崎護監督も「いい形で取ってくれた」と、2ゴールの主将を称えた。

 昨年度の悔しさが、阿部の4強への思いを強めていた。優勝した昨年度の大会、阿部は準決勝でスタメンを外されてると、準決勝の日大藤沢戦は途中出場したが、決勝は出番なく終わってしまった。初優勝を決めたチームにあって、喜びきれずにいた。

 しかし、その思いが阿部を支えた。「おかげで今年1年頑張れた」。新チームの主将に就任すると、もともと物静かだった阿部だが、経験をイレブンに伝えながらチームを鼓舞。「そういう意味ではああいう感じになってしまって、逆に良かったのかな」。今では感謝を語るまでに吹っ切っている。

 今年の4強の戦いは、阿部抜きでは考えられない。連覇への期待は高まっているが、「準決勝が山だと思っている。悔いのないように戦いたい」と一戦必勝を強調する。相手が東福岡ということについては、「僕らとしても一番当たりたかった。ワクワクというか、やってやろうという気持ちが強い」と力を込めた。

(取材・文 児玉幸洋)

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