beacon

[ニューバランスカップ]後半静岡学園を圧倒した流経大柏が、新生“裏選手権”の王者に!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.6 ニューバランスカップ決勝 流通経済大柏高 3-0 静岡学園高 時之栖B1]

 本年度から株式会社ニューバランスジャパンが特別協賛し、「ニューバランスカップ 2016 IN 時之栖 新春高校サッカー強化研修大会」へと名称を変更した通称・“裏選手権”は6日午後、決勝を行い、流通経済大柏高(千葉)が優勝した。流経大柏は静岡学園高(静岡)との決勝を3-0で快勝。ニューバランスカップの“初代”王者に輝いている。

「(コンディションは)どのチームも底にあると思う。疲れているのは疲れているんですけど、そういう意味ではいいんじゃない? なかなか元気だったし」。流経大柏の本田裕一郎監督は全国の強豪48校の1、2年生たちが優勝を争ったニューバランスカップ優勝を喜んだ。流経大柏や静岡学園など今回出場した48校はいずれも惜しくも選手権出場逃したチームたち。来シーズンへ向けて年末から合宿、遠征を重ねてきた各強豪校が、冬休みの総仕上げに参加した大会で頂点に立ったのは、決勝後半でも勢い衰えずに戦い抜いた流経大柏だった。
 
 持ち味を出しあう両校の真っ向勝負となった前半、流経大柏の出足の速さが静岡学園を苦しめる。だが、その中でもプレッシャーをいなすMF若山修平(2年)とサポートよくボールに絡むMF島田周汰(2年)のダブルボランチや絶妙なトラップで攻撃の流れを好転させたMF戸田大智(2年)を軸に攻める静岡学園は、絶妙な距離感のパスワークでハイプレスを剥がし、ボールを前へと進めていく。前半5分には戸田のラストパスのこぼれ球をFW稲葉章将(2年)が右足シュート。また左SB堤拓也(2年)の縦へのドリブル突破が流経大柏DFのファウルを誘った。 

 だが、FW河西守生(2年)とFW宮坂昂輝(2年)の2トップが前線で攻守にハードワークする流経大柏もボールを奪った勢いそのままに静学守備陣に襲いかかり、シュートシーンをつくり出す。14分に宮坂からパスを受けたMF本田憲弥(2年)の右足ミドルはGK田原智司(2年)がファインセーブ。15分にはCKの流れから宮坂が決定機を迎え、34分にも左中間を抜けだした宮坂が決定的な左足シュートを放つ。わずかな隙を逃さずに得点機をつくり出した流経大柏だが、いずれも田原の好守に阻まれて得点することができない。

 それでも0-0で迎えた後半8分、流経大柏がスコアを動かした。CB鈴木連(2年)の縦パスを静岡学園DFがクリアミス。これで左中間を抜けだした河西がGKとの1対1から右足シュートをニアサイドのゴールへ沈めた。流経大柏イレブンはこのゴールに大興奮。渾身のガッツポーズをした河西に次々とチームメートが抱きつくと、その後殊勲の背番号8はベンチへ駆け寄ってサブ組やスタッフとハイタッチをして喜びを分かちあった。

 このゴールで失速した静岡学園に対し、流経大柏は完全にイケイケ状態。攻守ともに非常にハイテンションなサッカーでハイプレス、球際での攻防で静岡学園を凌駕する。静岡学園は注目ドリブラーMF白川大吾廊(2年)とU-16日本代表MF渡井理己(1年)を立て続けに投入して巻き返そうとしたが、落ち着きを失ったチームは攻め急いでしまったか、後方から繋ぐことができずにロングボールに頼ってしまう。逆に畳み掛けた流経大柏は14分に本田の右FKをファーサイドの河西が頭で合わせて2-0。21分には河西のシュートのこぼれ球をMF加藤千尋が押し込んで3-0とした。

 流経大柏はその後もMF関大和(2年)や本田が迫力ある動きでセカンドボールを回収し、CB村山竜太(2年)と鈴木の両CBやGK長井玄(2年)中心に静岡学園攻撃陣を無失点に封じた。後半に関しては完勝と言える内容で優勝。新たなスタートを切った“裏選手権”の王者に輝いた。流経大柏の河西は「(現2年生の世代は)今まで優勝がなかったんですよ。ずっと準優勝で。この大会で優勝できてよかった。絶対に優勝しようと思っていたので選手権やプレミアへ向けていいスタートが切れたと思います」と喜び、鈴木は「今年の代はずっと“最弱”と言われていた。タイトルも取れてなかったので、今大会優勝できて嬉しい。自分たちもここからプレミアとかインハイに繋げていきたいですね」とニューバランスカップ優勝を次に繋げることを誓った。

 一方、静岡学園は流経大柏の喜ぶ姿を無念さを滲ませながら見つめていた。指揮を執った齊藤興龍コーチは「さっきアイツらにも言ったんですけど、『選手権出て決勝で流経とやった時に逆に何もやらせないで、逆に3-0で勝つというモチベーションをつくれたのは良かったな』と。練習だけです」と語り、若山も「選手権で当たったらチンチンにしたいですね。今回されたんでやり返したいですね」と選手権でのリベンジへ意気込んでいた。

 出場した48校はここからまた成長して16年の高校サッカーの中心になることができるか。もちろん、来年は“裏選手権”ではなく、選手権の舞台で日本一を争わければならない。選手権に出られなかった悔しさも持ってニューバランスカップを戦ったチームたちは、この4日間を糧にシーズンを迎えて、必ず結果を残す。

(取材・文 吉田太郎)

TOP