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[選手権]“赤い彗星”冬も輝く!東福岡が5発、17年ぶりVで夏冬全国連覇達成!

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[1.11 全国高校選手権決勝 東福岡高 5-0 國學院久我山高 埼玉]

 第94回全国高校サッカー選手権は11日、埼玉スタジアム2002で決勝戦を行い、17年ぶりの優勝を狙う東福岡高(福岡)と初優勝を懸けた國學院久我山高(東京A)が激突。東福岡が5-0で勝ち、夏の全国高校総体優勝に続く、全国2冠を達成した。

 97年度、98年度の全国高校選手権を制している“赤い彗星”こと東福岡は今夏の全国高校総体覇者で高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグWESTで2位に食い込んでいる。一方、「美しく勝て」をモットーに戦う國學院久我山は今大会で同校初となる準決勝進出。準決勝ではプレミアリーグEAST2位の青森山田高を破って初の決勝進出を果たした。

 東福岡は4-5-1、國學院久我山は4-3-3システムでファイナルをスタート。東福岡はGKがU-18日本代表候補の脇野敦至(3年)、4バックは右林雄都(3年)、CB福地聡太(3年)、CB児玉慎太郎(2年)、左SB小田逸稀(2年)、中盤は鍬先祐弥(2年)をアンカーにインサイドハーフが藤川虎太朗(2年)と中村健人主将(3年)。右MFが三宅海斗(3年)、左MFが橋本和征(3年)、1トップは餅山大輝(3年)が務めた。

 一方の國學院久我山はGK平田周(1年)、4バックは右SB宮原直央主将(3年)、CB野村京平(3年)、CB上加世田達也(1年)、左SB山本研(3年)。中盤は知久航介(2年)と鈴木遥太郎(3年)のダブルボランチでトップ下が名倉巧(2年)。3トップは澁谷雅也(2年)を中央に右FW内桶峻(3年)、左FW小林和樹(3年)の陣容となった。

 序盤、東福岡は右の三宅や中村がアーリークロスを入れる。7分には餅山が右中間を抜けだしたが國學院久我山はCB野村が素晴らしいカバーリング。ともにショートコンビネーションを交えてグラウンダーのパスを繋ぎ合う中、國學院久我山は18分にチャンスを迎える。左サイドからショートパスを繋ぎ、最後は中央で粘った名倉のパスを受けた内桶が左足シュート。だがこれを脇野がキャッチした東福岡は24分に中央からドリブルで持ち込んだ藤川が強烈な右足シュートを打ち込む。さらに跳ね返りを繋いで中村がダイレクトの左足シュートを枠に飛ばした。

 先制点は流れるようなパスワークから生まれた。前半35分、東福岡は左サイドの橋本を起点に餅山、中村と1タッチで繋いでPA中央でボールを受けた藤川がDFを引きつけて右サイドへラストパス。飛び込んできた三宅が放った左足シュートがニアサイドを破って東福岡がリードを奪った。東福岡は中盤、前線の選手と最終ラインとの献身的な挟み込みで國學院久我山アタッカー陣に自由を与えず、主導権を握ったまま試合を進めていく。 

 國學院久我山ベンチは43分に早くも動く。小林に代えて準決勝で後半アディショナルタイムに決勝点を決めているDF戸田佳佑(2年)を左サイドへ送り出した。だが後半開始直後、トリッキーなセットプレーによって東福岡が突き放す。2分、DFの背後へ飛び出した餅山が右中間でFKを獲得。壁の前でゴールを背に肩を組んだ東福岡の3選手がポイントからゴール方向へ後進すると、その3人が前のめりに倒れ込んだ瞬間、10番・中村が右足を振りぬく。GKの視界から上手くボールを隠して放たれた、意表を突く一撃が鮮やかにゴール左隅へ吸い込まれた。

 夏の全国高校総体準決勝で対戦した立正大淞南高のFKをヒントにしたトリックプレー。これで2-0と突き放した東福岡に対し、國學院久我山は12分、戸田がドリブルでPA近くまで運ぶとパスを受けた名倉が左足シュートを放つ。だがこれはGK脇野の正面を突き、20分に宮原が放った強烈な左足シュートはCB福地の顔面ブロックによって阻止されてしまった。
 
 東福岡は22分、中村が右サイド後方から出したループパスで抜けだした餅山が左足ループシュートを決めて3-0。さらに25分には右サイドを切れ込んだ児玉の折り返しを餅山がスルーし、最後は中央でフリーの藤川が右足でゴールへ押し込んだ。4点差とした東福岡は34分、三宅に代えてFW毎熊晟矢(3年)を投入。國學院久我山は内桶に代えてMF比留間公祐(3年)をピッチへ送り出した。だが次のゴールを奪ったのは東福岡。35分、餅山からのパスを受けた中村が鮮やかな右足コントロールショットを決めて5-0とした。東福岡は41分、餅山に代えてFW佐藤凌我(2年)を投入。そしてアディショナルタイムには橋本とMF高江麗央(2年)を交代させた。諦めない國學院久我山はDFを外しながらボールを動かし、中央から連続してチャンスをつくるなど最後まで1点を狙い続けたが5-0で試合終了。東福岡の赤いユニフォームが埼玉で舞った。

 東福岡の現3年生は同じく全国総体優勝を果たした1学年上の先輩たちと常に比較されてきた。MF中島賢星(現横浜FM)らタレントの揃っていた先輩に比べられて入学当初から“史上最弱”とも評されてきたが、それを覆して夏冬連覇。「強い世代」としてその名を歴史に刻んだ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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