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[選手権]驚愕のトリックFK炸裂!!東福岡MF中村「決勝まで取っておいた」

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[1.11 全国高校選手権決勝 東福岡高5-0國學院久我山高 埼玉]

 5万4090人の大観衆がどよめいた。1-0で迎えた後半2分、東福岡高(福岡)は正面やや右の位置でFKを獲得。ポイントにMF中村健人(3年)が立つと、ピッチ上には異様な光景が広がった。

 壁とボールの間にMF鍬先祐弥(2年)、DF小田逸稀(2年)、DF児玉慎太郎(2年)の3選手が並び、中村が助走に入ると同時に、ゴールに背を向けたまま肩を組んで一歩ずつ後進。4歩下がったところで突然しゃがみ込むと、壁の目の前に立っていた3人も同時にしゃがんだ。

「自分たち壁の役割はキーパーから見えないようにボールを隠すことだった」。鍬先はそう明かすと、「それが一発目で決まって良かったし、最高だった。あの位置で(FKを)取ったら、あのプレーをやろうと決めていた」と胸を張る。

 國學院久我山の選手はタイミングをズラされ、壁はしっかりとジャンプできなかった。壁に入っていたDF野村京平(3年)は「『何すんの、何すんの』と思った。うまいとしか言いようがない」と舌を巻く。中村の右足から放たれたキックは低い弾道で壁を越え、ボールが死角になったGK平田周(1年)も完全に反応が遅れた。シュートはゴール左隅に一直線。鮮やかなトリックプレーで後半立ち上がりに追加点を奪い、試合の流れを決定づけた。

 ヒントになったのは、夏の全国高校総体準決勝の立正大淞南戦だった。5-2で勝った東福岡だが、前半29分に同じ形でトリックFKを蹴られ、あわや失点というシーンをつくられた。中村は「壁が動いていて驚いた。立正大淞南はトリックプレーが有名で、警戒していたのに、気づいたらポストの横にボールが行っていた」と、当時の衝撃を振り返る。

「あれは真似しよう」。総体後はトリックプレーも意識し始めたが、実際の公式戦で繰り出すことはなかった。「選手権の難しい試合ではこういうプレーも必要になるということで、選手権の前から練習を始めた」。決勝前日にも練習したが、その精度は決して高くなかった。

「芝の長さに昨日は慣れていなかった。それまでは人工芝も多くて、助走は横から入っていたけど、それを(練習の)最後に縦に変えた。昨日の練習も最後はいい形で終われて、うまくふかさず、低い弾道で決められた」

 練習で感覚を微調整し、本番で仕上げた中村。「1回戦とか2回戦では使わず、決勝まで取っておいた」。最後まで温存していた“秘策”。選手権決勝という大舞台で見事に一発で成功させたヒガシの10番はそう言って満面の笑みを浮かべた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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