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[選手権]選手たちとともに叶えた「指導者として全国選手権優勝」の夢、東福岡・森重監督が宙を舞う

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[1.11 全国高校選手権決勝 東福岡高 5-0 國學院久我山高 埼玉]

 98年度以来3度目となる選手権制覇。そして03年度の国見高(長崎)以来となる夏冬連覇を達成した東福岡高(福岡)の森重潤也監督が宙に舞った。

 全国4000校を越える高校の頂点に、夏冬連続で立った。夏の全国高校総体では、U-18日本代表2人を擁する四日市中央工高(三重)、前年度選手権4強の日大藤沢高(神奈川)、プレミアリーグWEST勢の履正社高(大阪)、過去5年で3度目となる4強入りを果たした立正大淞南高(島根)、そして最多8度の優勝を誇る市立船橋高(千葉)を破って日本一。強豪校と6日間で5試合戦う過酷なトーナメントを勝ち抜いて掴んだ優勝について森重潤也監督は「チームでやろうとしているサッカーから外れてしまうと今のチームではサッカーにならない。一人ひとりがチームのためにプレーするという意識が高くなったと思います」と語った一方で、「このままでは選手権を戦えるとは思っていないので、気を引き締めてこれからのゲームに臨んでいきたい」と厳しい口調で引き締めていた。

 その言葉通りに選手たちは奢ることなく謙虚な姿勢で成長することに挑戦。全国総体決勝で先発していたDF福重達也(3年)やFW毎熊晟矢(3年)のケガなど順風満帆ではなく、全国大会直前もMF中村健人主将(3年)の体調不良や秋から足首痛に悩んだMF藤川虎太朗(2年)のコンディション面の問題もあった。それでもピッチに立った個々の選手がハードワークを欠かさず、全員攻撃全員守備を徹底。そして毎試合「このゲームに集中しろ」と言い続けた指揮官の下、1試合1試合に集中して戦い、押し込まれても最後ゴール前で相手のシュートを足に当て、球際で身体を張り続けた。今までになかったようなチームとしての強さ、勝利への貪欲な姿勢。市立船橋とのPK戦や駒澤大高(東京B)との1点勝負の厳しい展開の試合もあったが、選手たちはタフに闘いぬき、決勝は5-0という会心のゲームで選手権日本一に輝いた。

 プレーヤーとして全日空や福岡などでプレーした経歴を持つ森重監督は「自分の、指導者として全国選手権優勝するという夢を生徒たちが叶えてくれました」と選手たちに感謝。そして教え子たちの手によって胴上げを受けた。東福岡は14年夏の全国高校総体で97年以来17年ぶりの日本一を達成。6試合26得点という圧倒的な強さで優勝したが、胴上げは目標である選手権優勝後に、とお預け。15年夏の全国総体で連覇を果たしても森重監督が胴上げされることはなかったがこの日、「選手権で最高の舞台で優勝して胴上げしてほしいとずっと思っていました」という森重監督の願いは叶えられた。「きょうは(試合後に主将の中村)健人に『いつ胴上げしてくれるんだよ』と言って、叶って嬉しかったですし、宙に舞った時は最高の気分でした」。前回98年度の優勝時には外部コーチとして携わり、02年から東福岡の指揮を執る森重監督。280名の選手の頑張り、志波芳則総監督をはじめとするスタッフ、そして家族に感謝する指揮官が「指導者として全国選手権優勝する」夢を叶えた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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