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「負けたくない気持ちを失ったら終わる」…U-23代表MF矢島が示した存在価値

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[1.16 リオデジャネイロ五輪アジア最終予選GL第2節 U-23タイ 0-4 U-23日本 グランド・ハマド・スタジアム]

 171センチ。決して体格には恵まれていないMF矢島慎也(岡山)が宙を舞う。「クロスに入るところは意識しているし、攻撃で出ている以上、点に絡まないといけないと思った」。左サイドのMF原川力(川崎F)から送られたクロスに思い切りよく飛び込むと、豪快なヘディングシュートを叩き込んでチーム2点目を奪った。

 ゴールを記録したのはもちろんのこと、右サイドハーフの位置に入った矢島は組み立て役としても存在感を示す。4-1-4-1のシステムを採用するタイのアンカーの脇のスペースを狙ってポジションを取り、ボールを引き出しては前線に好パスを配球。特に矢島がサイドから中央へと顔を出すことで右サイドにスペースが生まれ、そこを後方のDF室屋成が果敢に攻め上がることで攻撃にリズムが生まれた。

「あの位置でボールに触ってリズムを作り、前に飛び出したり、裏にパスを出したりできるのが自分のいいところだと思う。室屋を高い位置に上げたり、ターンができたらターンをする。良いリズムでできていたと思います」

 前半8分にはFW浅野拓磨(広島)への浮き球のパスで決定機を創出し、その他の場面でも鋭いスルーパスを前線に送るなど、攻撃を操り続けた。

 13日に行われた北朝鮮戦ではベンチスタート。矢島がいるべきポジションではMF南野拓実(ザルツブルク)がプレーしていた。現時点ではどちらがレギュラーでどちらが控えという明確な線引きはなく、矢島自身も「北朝鮮戦と今日の試合だと流れや展開が全然違うので、比較はできない」と前置きしつつも、「ただ、負けたくない気持ちを失ったら選手として終わると思う」と大会期間中の定位置奪取に燃える。

 手倉森ジャパン発足当初からの常連メンバーの一人。一昨季所属した浦和では出場機会に恵まれない日々が続いたが、この代表には招集され続けたように、手倉森誠監督の信頼は厚い。この日の活躍に「矢島はやるなと思っていましたね」と指揮官も目を細めた。

(取材・文 折戸岳彦)

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