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絶体絶命の危機を救ったU-23代表GK櫛引「勢いに乗れる勝利」

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[1.22 リオデジャネイロ五輪アジア最終予選準々決勝 U-23日本 3-0(延長) U-23イラン アブドゥッラー・ビン・ハリーファ・スタジアム]

 もし、あそこで失点していたら――。そう思わせるような、絶体絶命の危機だった。延長前半5分にMF豊川雄太(鹿島)の先制ゴールでスコアを1-0としたU-23日本代表だったが、同アディショナルタイムにイランに決定機を創出される。しかし、GK櫛引政敏(鹿島)がその前に立ちはだかった。

 試合開始直後、櫛引にいきなり見せ場が訪れる。最終ラインの裏に抜け出したFWアルサラン・モタハリに独走を許してミドルレンジからシュートを放たれるも、きっちりと弾き出して先制点を許さず。その後も安定したセービング、そして果敢な飛び出しでゴールマウスを守り続ける。

 日本にも先制点は生まれずに試合は進むが、焦りはなかった。「試合前からタフになるゲームになると思っていましたし、絶対に日本人選手の方が走力や体力、忍耐力がある」。得点を許さなければ、必ず仲間がゴールを奪ってくれると信じていた。

 守護神の期待に応えるように延長に入って躍動した攻撃陣は、延長前半5分に豊川が先制ゴールを奪って1点のリードに成功。すると、今度は櫛引が魅せる。同14分には勇気を持った飛び出しで相手の決定機を未然に防ぐと、同アディショナルタイムにはPA内に進入したMFセイエド・モフセン・カリミに至近距離から放たれたシュートを、一気に距離を詰めてストップするビッグセーブで防いだ。

「あの局面、1点を取った後の相手のビッグチャンスを止めたことで流れを渡さなかった。それが(中島)翔哉の2点につながったと思うので、あの時間帯に止められたのは大きかったと思います」

 手倉森ジャパンにとって“鬼門”とも呼べるベスト8を突破。リオ五輪出場権獲得まで、あと1勝に迫った。「チームが勢いに乗れる勝利」と喜びを表しつつも、「次勝たなければ、やってきたことがすべて無駄になると思う。次勝てば一つのものを成し遂げられるので、絶対に勝たないといけません」と早くも次戦に視線を向けた。

(取材・文 折戸岳彦)

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