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[新人戦]「全てのタイトルを取るくらいの意気込みでいきたい」鹿島学園が4発快勝、茨城制す!

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[1.23 茨城県高校新人戦決勝 明秀日立高 1-4 鹿島学園高 鹿島ハイツ]

 選手権予選準決勝で敗れた宿敵に快勝。鹿島学園高がまず県1冠を獲得した。平成27年度茨城県高校サッカー新人大会は23日午後に決勝を行い、鹿島学園がFW上田綺世(2年)の2ゴールなどによって選手権出場校の明秀日立高を4-1で下し、3年ぶり5回目の優勝を飾った。

 この日の午前に行われた準決勝終了から約2時間。鹿島学園が攻守で強さを発揮して新人戦タイトルを獲得した。今後へ向けた強化、育成のため、明秀日立が6人、鹿島学園も2人を準決勝の先発から代える中での戦いとなった決勝。4分に明秀日立のFW岡本和馬(2年)がカットインから左足シュートを放ったのに対し、鹿島学園は5分に前線で上田が競り勝ち、PAに潜り込んだFW岡部知紘(2年)が決定的な左足シュートを放つ。7分、鹿島学園が早くもリードを奪う。左サイドから仕掛けた阿部がクロスを入れると、DFのマークを外してPAへ飛び込んだ上田が1タッチでゴールへ押し込んだ。

 明秀日立の萬場努監督が「速いずらしで個に余裕をつくられるところがあった」と振り返っていたように、鹿島学園は幅広い動きを見せるMF熊谷圭悟(2年)とMF竹内利樹(2年)のダブルボランチを起点とした素早いパスワークからサイドの局面を個で、またコンビネーションで打開。岡部やMF島村風雄(2年)、MF山口瑞来(2年)が前向きに仕掛けてクロスへ持ち込むようなシーンが続いた。そして32分、左タッチライン際からSB小長井大夢(2年)が出した技ありのループパスによって抜けだした島村が角度のない位置から左足を振りぬく。GKの頭上を越えたボールがそのまま逆サイドのゴールネットへ吸い込まれて2-0となった。

 一方、守備面での対応で苦戦した明秀日立は奪ったボールをサイド、前線へ入れて反撃しようとするが、相手の鋭いプレッシャーに判断を欠くシーンも散見していい形で攻撃することができない。ダイナミックなドリブルを見せる右MF高林海成(2年)や左MF武藤淳主将(2年)を起点にPAまでボールを運ぶシーンもあったが、最終ラインで良く体を張っていたCB塩野清雅主将(2年)を中心に統率された守備、また球際の攻防で粘り強い鹿島学園の前に前半は無得点に終わった。

 鹿島学園は後半8分、注目エースがこの日2点目のゴール。敵陣中央での混戦からボールを持った上田が右前方へのドリブルで抜け出すと、さらに加速してカバーに入ったDFを振り切る。そして放たれた右足シュートが逆サイドのゴールネットへ突き刺さった。「本来ひとつ前で打ちたかったんですけど、前にDFがいたので(スペースへ持ち出して打った)」という上田の鮮烈ゴールで3-0。明秀日立は失点後に全国2ゴールのエースMF小磯克文(2年)とMF大野拓朗(2年)ら4人を同時投入し、19分には小磯が個で左サイドを破って決定的なラストパスを送る。だが、中央の岡本にはわずかに合わず。逆に22分、明秀日立は山口が右タッチライン際から放り込んだクロスを岡部が合わせて4点差とした。

 意地で1点を返そうとする明秀日立は31分に縦パスからDFを振り切った小磯が決定的な左足シュートを放ったが、これはGK木村壮宏(2年)がセーブ。それでもアディショナルタイムにSB平井雅大(2年)が上げたクロスのこぼれ球を大野が右足でねじ込んで1点を奪った。だが、試合は4-1で鹿島学園が勝利。塩野は「本当は無失点が良かったけれど、チーム全員がディフェンスから入るという意識で全員がよく出来たかなと思います」と納得の表情を見せていた。

 鹿島学園は昨年、県1部リーグと関東大会予選を制したものの、総体、選手権予選はいずれも準決勝で競り負けて全国には手が届かなかった。塩野は「(最後に差となったのは)フィジカルの部分。体の当たりや大きさだったり。技術はあったけれど、明秀日立にもそこで負けたかなと思います。でも、昨年までは個々でやっていた筋トレをチームで始めていますし、欠点をしっかり改善していきたい」と力を込める。取り組みの自信か、それとも効果か、この日はボールサイドの攻防で力負けするシーンは少なかった。好スタートを切ったチームについて鈴木雅人監督は「先細みしないように。ひとつ取れたから(全てのタイトルを)狙ってはいますけれど、一つひとつ、目の前のところから行かないといけない。どの大会も一生懸命ぶつかっていきたいと思っているので。それで結果に繋がってくれればいい」。また上田は「(選手権は)3年間出ていないし、去年も全国ベスト8を掲げていたんですけど、全国にも出れなくて。県リーグ1位でそこで過信して気の緩んだところをやられたと思うので、全てのタイトルを取るくらいの意気込みでいきたいですね」と意気込んだ。

 一方、選手権出場から準備期間が少なかった明秀日立は主力数人を欠いていたとは言え、安易にシュートを打たせてしまうなど、球際の迫力や際の部分での姿勢含めてこれからという印象だ。萬場監督は「(準備期間の少なさを)言い訳せずにこれが現状の力」と選手たちに説き、「(ここからの)伸び率で勝負したい」と口にした。また、大野は「ここからもっと一人ひとり合わせて関東大会目指して頑張りたいです」。昨年、夏冬連続全国出場し、選手権1勝を挙げた新鋭は悔しい敗戦の借りを必ず返す。

(取材・文 吉田太郎)

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