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[東京都クラブユースU-17選手権]躍進なるか?戦力充実のFCトリプレッタユースが横河武蔵野FCユースとドロー

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[1.24 東京都CYU-17選手権決勝L第1節 横河武蔵野FCユース 1-1 FCトリプレッタユース 東京ガス武蔵野苑多目的G]

 クラブユースチームの新人戦、東京都クラブユースサッカーU-17選手権大会は8チームを4チームずつの2グループに分けた決勝リーグへ突入。FC東京U-18、横河武蔵野FCユース、FCトリプレッタユース、C.A.Seis Rayos Tokyoの4チームがグループ1位と決勝進出を争う2Bリーグ第1節が24日に東京ガス武蔵野苑多目的グランドで行われ、横河武蔵野FCユースとFCトリプレッタユースとの一戦は1-1で引き分けた。

 昨年、T1リーグ(東京都1部リーグ)で3位に食い込んだ横河武蔵野FCユースとT2リーグ3位のFCトリプレッタユース。街クラブの強豪対決は立ち上がりからFCトリプレッタユースが押し込んだ。トップ下の位置で決定的なスルーパスを繰り出す注目レフティー、10番MF宮澤亮太朗主将(2年)を中心に、高速ドリブルで脅威となったMF高野路万(2年)、テンポの速いパス出しが印象的なMF田村和己(2年)、そしてパワフルなCF山口ツンデローレンス(2年)らタレント揃う攻撃陣が次々とシュート、ラストパスのシーンを作り出す。

 また前線から押し込む中でハイプレスも効いていたトリプレッタは11分に宮澤のスルーパスから左SB内山健(2年)が右ポスト直撃の左足シュート。14分には宮澤のスルーパスでMF石川吉輝(2年)が抜け出し、こぼれ球に反応した田村が右足を振りぬく。18分には再び宮澤のスルーパスで高野がGKと1対1となったが、ループシュートはゴール上方へ外れてしまい、30分にも高野が右サイドを切り裂いて出したグラウンダークロスを山口がゴールへ押し込んだが、これはオフサイドの判定。1点奪えば畳み掛けることのできそうな展開だったが、数ある得点機を活かすことができない。

 対する横河武蔵野FCユースはトップチームがJリーグ参入を目指すこと、また「東京武蔵野シティフットボールクラブ」へチーム名を変更することを表明。横河武蔵野FCユースも新シーズンからは東京武蔵野シティフットボールクラブU-18へチーム名が変わるため、今大会が横河武蔵野FCユースとして出場する最後の大会となる。練習グラウンドが12月から改修中で現在はフットサルコート中心のトレーニング。2月のT1リーグ開幕へ向けて連日トレーニングマッチを行ってきた中で迎えた今大会初戦だったが、増本浩平監督も「練習もできていないし、形もできていないから前から行こうと言っていたけれど行けていなかった。硬さもあったし、気持ち的な部分もあったけれどあまりにも戦えない入りだった。技術云々、システム云々よりそこ(前から行くこと。戦う姿勢の部分)しかやってこなかったのでそこで何もなかったことが寂しい」と厳しく指摘する内容だった。

 横河武蔵野のチャンスの数は少なかったが、15分に司令塔のMF初田優真(2年)からMF佐々木克矢(1年)が繋いで最後は右MF草宏禎(1年)が切り返しから左足シュートを打ち込み、30分にはMF中川海(1年)の右足コントロールショットが右ポストをかすめる。大貫雅之監督が「攻め込んだ分、ハードにやっていた」と語るトリプレッタに疲れが見え始め、ミスが増えた前半終盤に押し返した横河武蔵野は39分に先制点を奪う。相手のミスから左サイドでボールを奪うと、MF角井拓哉(2年)がスルーパス。これで抜けだしたFW西村悠(2年)はDFとGKにシュートコースを消されかけていたが「トゥーキックでタイミングをずらすことができた。角度なかったんですけど相手のタイミングは外せたんじゃないかなと思います」と巧みに右足で狙ったシュートがGKの手を弾いてゴールを破った。

 後半は4-4-2から4-1-4-1へシステムを変更した横河武蔵野の選手に動きが出て、ボールを保持する時間が増えた。試合を支配していた感のあった初田を中心に、幅広い動きを見せる佐々木らがチャンスメーク。9分には佐々木と草が2人で右サイドを攻略して草が左足シュートを打ち込む。トリプレッタもPAまでボールを運んで宮澤がシュートへ持ち込むシーンがあったが、CB長田真之祐(2年)とCB森田幸紀(2年)を中心に守る横河武蔵野はゴール前で体を張ってピンチを阻止。トリプレッタは右サイドから仕掛けた高野がシュートを放つシーンもあったが、最後の局面、ゴールを破ることができない。

 宮澤は「(後半は)取った後の2、3本つなげなくてすぐ相手ボールになってしまった」と首を振る。それでも「そこで踏ん張って1失点に抑えたのは引き分けに持ち込めた要因だったと思います」と振り返ったように、CBディサロ峻ヴァレンティノ(2年)を中心に相手の攻撃を阻止したことが歓喜の同点ゴールに繋がる。後半40分、トリプレッタは交代出場のMF高橋翔太郎(2年)がゴール正面右寄りの位置でFKを獲得。大貫監督の指示で狙いを左上から右隅へ変えたCB船越和樹(2年)の右足FKは、その狙い通りに低い弾道で右隅を破る鮮烈同点弾となった。直後にディサロが2枚目の警告を受けて退場したが、我慢強く残り時間を終えて1-1ドロー。大貫監督は「ディフェンスはここんところのトレーニングマッチで全然“ざる”で……。だから堅い試合しようと。(これまでならば)1点取られたら連続失点してしまうけれど、踏ん張って最後FKで取れた。先にやられたけれど、そこからの合格点は出せるかな」と崩れず引き分けに持ち込んだ試合に納得の表情を浮かべていた。

 トリプレッタは昨年、Jユースカップ予選で横河武蔵野を破るなどプレーオフへ進出。全国まであと1勝に迫った。またクラブユース選手権予選でも柏U-18と引き分け、東京Vユースと1点差の接戦を演じるなど力を発揮している。近年、全国大会に出場してJユース勢を破るなど存在感を示してきた横河武蔵野の増本監督は試合後、選手たちに「1-3とかで負けてもおかしくないゲームだった。追いつかれて追い越されたいのか」と説いたというが、都内で“街クラブの雄”三菱養和SCユースや横河武蔵野に次ぐ存在がそれに迫る勢いを見せている。その中で、米原隆幸総監督から昨年指揮を引き継いだクラブOBの大貫監督はポジティブにチャレンジする姿勢を選手たちに求めてきた。「最終的に(全国へ)出る出ないのところはJの相手とか、養和とか、チャレンジする相手なのかなと。そこを見据えた時に常にチャレンジというところでポジティブにやらせています」。個性ある選手たちがいい部分を出しあって、これからもチャレンジしていく。

 トリプレッタの今年の目標は全国。船越は「勢い乗れれば個人技も自分たちあると思うし、全国行けると思っているので狙っていきたいですね」と語り、宮澤は「去年あと一歩で逃したので、新チームが始まって今年は全国行こうと。2年の方が3年よりも多く出ていたから悔しさも知っていると思うし、全国出たいという気持ちもあると思うのでしっかりやっていきたい」。その目標を実現するだけのポテンシャルを十分に感じさせるトリプレッタが今年、躍進を遂げる。

(取材・文 吉田太郎)

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