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U-23代表FW鈴木、逆境をはねのけて辿り着いた「人生一番のうれしさ」

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[1.26 リオデジャネイロ五輪アジア最終予選準決勝 U-23日本 2-1 U-23イラク アブドゥッラー・ビン・ハリーファ・スタジアム]

 決して万全ではなかったのかもしれない。しかし、U-23日本代表FW鈴木武蔵(新潟)は最前線で体を張り、裏への鋭い抜け出しからゴールに迫ろうとする。これまで手倉森ジャパンの「9番」を背負い続けてきたストライカーはチームの勝利のため、そして五輪出場のために完全燃焼した。

 16日に行われたグループリーグ第2節タイ戦で鮮やかな先制点を奪ったものの、代償は大きかった。その試合で股関節痛となり、別メニューでの調整が続く。現況を聞けば「良い状態にはなってきています」と答えていたが、第3節サウジアラビア戦、準々決勝イラン戦はベンチを温め続けた。しかし24日に全体練習に合流すると、大一番となったイラク戦でピッチに舞い戻った。

 そして、前半26分には大仕事をやってのける。「カウンターのときにCBが前に突っ込んできていたので予測して」ワンタッチで相手選手を置き去りにすると、左サイドを独走。「ちらっと中央に味方が走っていたのが見えたので、そこに合わせようと思った」と送ったグラウンダーのクロスをFW久保裕也(ヤングボーイズ)が流し込んで、貴重な先制点が生まれた。

 しかし、同43分には相手CKをクリアミスしてしまい、その流れから同点ゴールを奪われ、「僕のミスでした」と唇を噛む。すぐさま上を向き「取り返そうと思った」とその後もピッチ上を精力的に走り回ったものの、7日間別メニュー調整を続けていた体は限界に近付き「足をつりまくって、結構しんどかった」と、後半23分にピッチを後にした。

 ベンチで見守ることしかできなくなったが、後半アディショナルタイムにMF原川力(川崎F)が劇的な決勝ゴールを奪い、チームは決勝進出、そして五輪出場権を獲得した。その瞬間、「勝って泣いたのは人生で初めてだった」と嬉し涙を流す。

「プレッシャーや国民の期待がすごいある中、なかなか勝てない時期や苦しい時期もありましたが、こうして五輪出場を決められました。人生で一番うれしかったくらいの感覚です」。チーム発足当初から背番号9を背負い、プレッシャーにさらされる中でも、ピッチ上で戦い続けてきた男の2年間の努力が報われた瞬間だった。

(取材・文 折戸岳彦)

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