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いわきFC第1回コンバインに44人が参加!!オランダ人指揮官「タレントを発掘できた」

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 将来的なJリーグ参入を目指し、福島県社会人2部リーグからスタートを切るいわきFCが23日、いわき市内で第1期メンバーの選考会となる「第1回コンバイン」を開催した。

「コンバイン」とは、選手選考となるセレクションやトライアウトのことで、アメリカンフットボールNFLのコンバインにならって名付けられた。「日本のフィジカルスタンダードを変える ~魂の息吹くフットボール~」というビジョンを掲げるいわきFC。コンバインでも6種類のフィジカルテストを実施した。

 室内では、基礎的なフィジカルパフォーマンスを見る垂直跳びや立ち幅跳び、柔軟性を見る長座体前屈のほか、ベンチプレスで60kgを何回上げられるかという筋力テストも行った。また、グラウンドでは10mと30mのスプリント、横幅10mの反復横跳びで瞬発力をチェックした。

 今月13日に新生・いわきFCの立ち上げとコンバインの開催が発表されたばかりだったが、約150人の応募があり、書類選考を通過した44人が参加。福島県出身で中高時代はJFAアカデミー福島でプレーしたMF下重優貴(22=青山学院大4年)は「想像もしていなかったことが今、福島で起きている。福島で育った分、何か恩返しがしたいと思った」と、応募動機を語る。

 いわきFCの拠点となる物流センター「ドームいわきベース(DIB)」の敷地内には人工芝のグラウンドとクラブハウスを建設中で、6月に完成予定。選手とは当面、プロ契約を結ばず、午前中にトレーニングを行い、午後はDIBで仕事をする。下重は「サッカーをできる環境があるだけで幸せ。さらに社会人として仕事をしながら社会を学べることは本当にありがたい」と、その環境にも魅力を感じている。

 コンサドーレ札幌U-18時代にプリンスリーグ北海道でMVP&得点王に輝いた経歴を持つMF菅原康介(23)は昨春に札幌大を卒業後、OBとして大学の練習に参加しながらさまざまなチームのトライアウトを受けてきた。「フィジカルテストを取り入れているのは他のチームと違って新鮮な感じがした」そうで、「まだまだサッカーで上を目指したい。いわきFCというチームと一緒に上を目指したい」と意欲的に語った。

 フィジカルテストのほか、一般的な技能テストとしてGKを含めた6対6のミニゲーム、フルコートでの紅白戦も行った。紅白戦では左サイドバックとして積極的なオーバーラップを見せたDF小林勇斗(24)は道都大卒業後、14年4月からタイ3部リーグのJWFCで約1年間プレー。帰国後は埼玉県内の小学校で非常勤講師を務めていたが、「頭の中からサッカーが離れなかった」と、サッカーをあきらめ切れず、いわきFCのコンバインに応募した。

 約6時間に及んだ第1回コンバインを終えると、元オランダ代表FWで、現役時代はサンフレッチェ広島にも在籍したピーター・ハウストラ監督は「長い1日で、とても良い1日だった」と総括。「3人のメッシと2人の(クリスティアーノ・)ロナウドが見つかったら良かったが」とジョークをまじえつつ、「このコンバインからタレントを発掘できたと思う。なぜここにいるんだろうと思う選手もいた。彼らにもう一度、プレーする場を与えたい」と納得の表情だった。

 福島県2部リーグは4月に開幕する。今後は今回のコンバイン通過者を含めた20数名で2月中旬にも新チームを立ち上げる予定だ。シーズンまでの準備期間は2か月弱と決して長くないが、「いわきFCは攻撃的なサッカー、そしてエンターテインメントを追求する。2か月は十分な時間だ」と自信を見せたハウストラ監督。まずは福島県1部リーグ昇格を目指し、いわきFCの挑戦が始まる。

(取材・文 西山紘平)

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