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中国クラブ、“爆買い”で冬の移籍市場の「世界一」 200億円を投資、プレミアも抜く

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 中国スーパーリーグが、プレミアリーグを上回った!? この冬の移籍市場での中国クラブの“爆買い”が、歴史的かつ世界的な動きになってきている。

 この数日、ヨーロッパメディアでも中国クラブの名が躍った。ブラジル代表MFラミレスチェルシーから、コートジボワール代表FWジェルビーニョローマから、コロンビア代表MFフレディ・グアリンがインテルから、それぞれ中国へと向かった。移籍市場情報サイト『transfermarkt.de』によると、これらの選手獲得で中国スーパーリーグが今冬補強に投じた総額は推定約1億5500万ユーロ(約200億9000万円)に上り、プレミアリーグの1億4900万ユーロ(約193億1300万円)を超えて、現時点で「世界一」に躍り出ているという。

 数年前から、中国のクラブは国外から積極的に実力のある選手を獲得してきている。今冬はさらにターゲットをワールドカップにも出場する国の現役代表へとシフトさせつつあり、しかも欧州でも限られたクラブにしか支払えないような移籍金及び高年俸をオファーするようになっている。

 江蘇蘇寧がラミレスの獲得に支払ったとされる移籍金は3300万ユーロ(約42億7700万円)。河北華夏はジェルビーニョ獲得に1800万ユーロ(約23億3300万円)、上海申花はグアリン獲得に1300万ユーロ(約16億8500万円)を注ぎ込んでいる。その他にも山東魯能泰山はブラジル王者コリンチャンスからDFジウ(移籍金約11億円)、先日元日本代表指揮官のアルベルト・ザッケローニ氏が監督に就任した北京国安も、コリンチャンスからMFレナト・アウグスト(同約10億円)を獲得した。

 だが中国のクラブは、欧州のクラブでプレーする各国代表クラスの選手たち、またはブラジルからの「直接輸入」のみを狙っているわけではない。リーグ内でのライバルからの選手獲得にも大金を費している。

 例えば、昨季リーグ2位の上海上港はAFCチャンピオンズリーグも制した昨季王者の広州恒大から、ブラジル人FWエウケソンを加えた。エウケソンは2013年1月に中国に向かい、2度スーパーリーグ得点王に輝いた。この点取り屋の移籍金は日本円換算で約24億円と、ラミレスに次いで高額なものとなった。

 当然ながら、補強の対象は外国人選手だけではない。グアリンが加入した上海申花は、DFビ・ジンハオと昨年11月に中国代表でデビューを果たしたばかりのCBの獲得のために、河南建業に14億7700万円相当額を支払った。また広州富力はFWジアン・ニンに約10億円を払うなど、中国人選手の引き抜き合いは活発だ。ほかにも1選手あたり9-10億円での取引も珍しくはない。

 中国の脅威は、これだけにとどまらない。広大な中国の「裾野」は広いのだ。『transfermarkt.de』によると、中国2部にあたるリーグ1(甲級リーグ)は今冬、選手獲得に総額4740万ユーロ(約61億4400万円)を注ぎ込んでいるという。この金額はリーグごとの比較ではセリエAの6245万ユーロ(約80億9200万円)は超えないものの、ブンデスリーガの4022万ユーロ(約52億1200万円)を大きく上回り、“世界第4位”にランクインしている。

 欧州の各リーグとは違い、日本のJリーグと同じく春に開幕する中国リーグのクラブにとっては、今が開幕前の「本番」である。シーズン途中の欧州との違いは、当然ながら考慮されなければならない。それでも、移籍市場において歴史上初めて欧州以外のリーグが最多の移籍金を投じているという事実は重い。サッカーの歴史的なポイントであり、今後の流れを左右する転換点ともなり得る。

 欧州のリーグの多くでは、移籍登録期間が2月1日に終了する。一方、中国のクラブは2月26日まで新選手を獲得できる。この移籍市場の今後でも、さらにはこの先のサッカー界でも、さらなる“拡大”を見せないとは、言い切れないのが現状だ。
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