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1人しか出られない特別なポジション…U-23代表GK3人衆「2人へのリスペクトは忘れない」

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 GKは1人しかピッチに立てない。フィールドプレーヤーは10人がピッチに立てることを考えれば、少ない数字だろう。しかし、リオデジャネイロ五輪アジア最終予選(AFC U-23選手権)を戦うU-23日本代表には3人のGKが選出されている。当然試合には1人しか出られず、他の2人はベンチから戦況を見守ることになる。

 準決勝までの5試合、GK櫛引政敏(鹿島=写真左)が4試合、GK杉本大地(徳島=同中央)が1試合に出場する一方、GK牲川歩見(鳥栖=同右)はフィールドプレーヤーを含めた全23選手の中で唯一出場機会がない。そして、30日に行われる決勝の韓国戦で牲川の先発出場がないことを手倉森誠監督が明かした。

 韓国戦前日に取材に応じた指揮官は、こう語っている。「強いチームはGKには正しい序列が必要だと思っている。俺は櫛引が一番手、大地が二番手、そして牲川が三番手だと。その序列に対して、決勝で三番手とはいかない。そういう話はGKコーチともしているし、牲川も理解している」と――。

「1人しか出られない特別なポジション」と理解しているこそ、“一番手”の櫛引は「2人のことはリスペクトしている。だからこそ試合に出たら2人の分もという思いはある」と声を強めていた。さらに、「今まで代表で争ってきたGKもたくさんいるので、その人たちのためにもという思いもあります」とこれまでポジションを争ってきた選手たちの思いも背負ってピッチに立つことを誓っている。

“二番手”の杉本は過去を振り返ると苦笑いした。12年のAFC U-19選手権の頃に櫛引に先発の座を奪われていたことに対し、「自分がベンチで櫛引が試合に出ている時は、あまり良い気がしていなかったし、ミスをすれば自分が出れるんだと思ったことがあった」と明かした。しかし、「そう考えていた、あのときはうまくいっていなかったし、今回はチームの勝利を第一に考えています」と当時と同じようにベンチに座る悔しさは当然ありながらも、二番手を受け入れてチームのために働いている。

 同時にポジションを争う櫛引と牲川への思いも語っている。「2人は僕にはないものを持っている。僕に足りないものを持っている選手たちだと思うので、どんどん吸収したい。本当に良いライバル関係だと思います」と櫛引同様に2人へのリスペクトを忘れない。

 そして、唯一出場機会のない“三番手”の牲川も決して腐らない。「2人とも先輩であり、Jで試合に出て結果を残している選手。良いお手本が近くにいることで、日々勉強という形でトレーニングできているし、試合でもしっかりと見て学びたい」と下を向くことなく、2人の姿を見て自身の成長につなげようとしている。

 翌日に控える決勝の韓国戦、おそらく櫛引がゴールマウスを守ることになるだろう。しかし、決して1人でピッチに立つわけではない。杉本と牲川、そしてこれまでポジションを争ってきた選手たちの思いを背負って、守護神は日本のゴールを守り抜く。

(取材・文 折戸岳彦)

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