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[新人戦]柏と提携する強豪・柏日体を3-0撃破!ボールコントロールと判断力こだわる専修大松戸が会心の一勝

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[1.30 千葉県高校新人大会Eブロック準決勝 柏日体高 0-3 専修大松戸高 柏日体高G]

 30日、平成27年度千葉県高校新人サッカー大会は30日にAブロックからHブロックまで8つのブロックトーナメントの各準決勝を行った。昨年度高校総体予選と高校選手権予選8強の柏日体高と専修大松戸高との一戦は、FW家鋪謙介(2年)の2ゴールなどによって3-0で専大松戸が快勝。専大松戸は31日のブロック決勝で千葉明徳高と対戦する。

「ベストゲームをしよう、と言って送り出しただけなので、自分たちの力を出しただけだと思います」。専大松戸の野村太祐監督が毎試合前に口にしているという「ベストのゲームをしよう」というメッセージ。この日は危ないシーンもあったが、指揮官も「選手たちがよく考えて、判断してやってくれたと思います」と評価する「ベストゲーム」に近い内容で強豪撃破を果たした。

 序盤は柏日体がビッグチャンスをつくった。昨年2月に地元のJ1クラブである柏レイソルと相互支援契約を結んだ柏日体は今月、柏から派遣された酒井直樹氏を新ヘッドコーチに迎え入れて新たなスタート。元日本代表MFで、12年間に渡って柏の育成組織の指導をしてきた酒井氏の指示を受けながら戦う柏日体は、試合開始直後にDFラインの背後へ抜けだしたFW佐藤俊太(2年)が決定的な右足シュートを放ち、24分には右SB長谷川泰仁(2年)の好パスを起点にMF高橋航太(1年)が上げた右クロスを注目FW浦山雄介(2年)が頭で合わせる。だが先制点かと思われた浦山のヘッドは専大松戸GK青木諒(2年)がビッグセーブ。得点することができない。同じく柏から派遣された永井俊太ヘッドコーチの下で戦った昨年同様にボールを握って、主導権を握って試合を進めたい柏日体だったが、雨でスリッピーなピッチが影響したか、慌てて攻めてボールを失ってしまうシーンが多く、また判断を欠いたプレーが失点に繋がってしまう。

 一方、専大松戸は主将のFW森実宗景(2年)が「自分たちのパスとボールコントロールのこだわっているところを出せたので良かったです。練習から激しいプレスが来るというのを想定して状況判断をいつも磨いている。どんなに速いプレスが来てもかいくぐれる判断力とボールコントールをいつも練習しているので、こういう相手でも対応できていると思います」と語り、就任2年目の野村監督も「去年からボールを大事にすることと、パスアンドコントロールと状況判断ということはずっと練習やってきたので、それが上手く出たかなと思います」というように磨いてきたボールコントロールと状況判断よく相手のパスコースを限定していたプレス、そして家鋪が「みんなで戦えていた。相手背が高いけれど、DF陣が競り勝ってくれたりしていた」と讃えたDF陣の頑張りもあって強豪を上回る。

 前半14分にMF押田晃(2年)のスルーパスからMF武智祥太(2年)が放った一撃はポストを叩いたが、柏日体の酒井ヘッドコーチも賞賛していた司令塔・MF菊地紘平(2年)とMF成島和哉(2年)のダブルボランチや、スピードとコンタクトに秀でた家鋪を中心に攻める専大松戸は35分、PAやや外側で相手CBのクリアをチャージ。すぐさま仕掛けた家鋪がPAでの切り返しでファウルを受けてPKを獲得する。これを家鋪が右足でゴール右へ流し込んで先制すると、アディショナルタイム突入後の42分にも相手アンカーの脇のスペースを判断良くドリブルで持ち上がった菊地がスルーパス。家鋪が右足でゴール左隅へねじ込んで2-0とした。

 柏日体は後半開始からMF有坂翔耶(1年)を投入し、有坂と前線から中盤へ降りた浦山中心に自陣からポゼッション。前半に比べてボールを保持する時間を大きく伸ばしたが、サイドチェンジが少なく、アタッキングゾーンから先の部分で効果的な攻撃をすることができない。逆に専大松戸は後半16分、右クロスのクリアボールから菊地が右足ミドルを叩き込んで3点差。終盤の柏日体の反撃をCB濱口怜(2年)やCB能津亮汰(2年)中心に封じきった専大松戸が貴重な白星を勝ち取った。

 専大松戸は、11年から14年まで関東大学リーグ4連覇を達成している専修大の附属高校だが、専大のサッカー部に進むのは例年1人か2人ほどだという。抜きん出た選手層を持つわけではなく、また進学校で練習時間は2時間ほど、午後7時には下校しなければならないという環境だというが、「選手が伸び伸びやってくれている」(野村監督)というチームがこの日はポテンシャルの高さを示す勝利。家鋪が「ピッチの中で自分たちが気づいたことを自分たちで変えていいと言われているのでそれを気づいたら自分たちが変えている」という対応力の高さに加えて、個々の技術も発揮した専大松戸は森実が「市船や流経を倒す」「全国」と掲げるように、高い目標を持っている。だからこそ「ここじゃ、まだ負けられない」。目標達成へ向けて新人戦で少しでも自信を得て、夏、来冬の躍進へ。昨年の総体予選4強の千葉明徳と戦うブロック決勝も自分たちが磨いてきた力をしっかりと表現して白星をつかむ。

[写真]後半16分、専大松戸は菊地が右足ミドルを叩き込んで3-0

(取材・文 吉田太郎)

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