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[新人戦]東海大望洋振り切りブロック決勝進出、横山杯優勝後に苦戦続いた習志野は謙虚に成長目指す

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[1.30 千葉県高校新人大会Aブロック準決勝 習志野高 2-0 東海大望洋高 柏日体高G]

 平成27年度千葉県高校新人サッカー大会は30日、AブロックからHブロックまでの各ブロック準決勝を行い、Aブロックの習志野高対東海大望洋高戦は右SB井上晃史郎(2年)とFW米田陽斗(2年)のゴールによって習志野が2-0で勝利。市立柏高と戦うブロック決勝(31日)へ進出した。

 序盤からボールを支配した習志野が主導権を握って攻めた。推進力ある動きで年末から台頭したMF松木玲生(2年)と「意外と落ち着いている。若干ですけれど長いボールも蹴れる」(砂金伸監督)という1年生ゲームメーカーMF愛澤健太中心にボールを動かす習志野は、10番を背負う左MF金木壱成(1年)と右のMF吉井祐太(2年)の両翼の個人技などによってサイドを打開。チャンスを増やすと、9分に金木の折り返しをFW及川成弥(1年)が左足で合わせ、10分にも「自分はスピードが武器なのでどんどんえぐっていく」という井上が右サイドをえぐり、決定的なラストパスを中央に入れる。20分にも左サイドへの展開からドリブルでDFをかわした金木の右足シュートがニアサイドのゴールを捉えた。だがこれがGK根路銘海(2年)に阻まれたほか、CB松下未来哉(2年)とCB秋元佑太(2年)中心に高いDFラインを敷いてコンパクトな守備を見せる東海大望洋の好守にパスを引っ掛けられてFW松江郁弥(1年)、MF高橋岳(2年)らが繰り出すカウンターを受けるようなシーンが続いた。

 年末に開催された横山杯 第16回全国ユース招待サッカー大会MVPのCB埴田裕己(2年)を中心とした守備で相手に決定機をつくらせなかった習志野だが、ゴールが遠かった。31分に右クロスをファーサイドの金木が折り返してMF松木玲生(2年)が飛び込み、直後にも金木のラストパスに吉井が合わせたがいずれもわずかに枠外。ようやく東海大望洋ゴールをこじ開けたのは前半アディショナルタイムに突入してからだった。41分、左SB海田航佑主将(2年)の右CKをDF井上が頭で叩き込む。今大会初戦後にチーム内で話し合って167cmと小柄ながらもヘディングで強さを発揮する井上をセットプレーのターゲットのひとりに加えていた習志野。「跳躍力もあるんですけど、『CKはマーク外せば身長は関係ない』と言われていたので相手の背後を取る練習をして、(相手の)タイミングを外せば決めれると考えていた」という井上のゴールによって待望の先制点を奪った。

 後半12分には交代出場の米田が左足ミドルをゴール右隅へねじ込んで2-0。その後もサイドを攻略して決定機をつくる習志野だが、シュート精度を欠いたり、最後の局面でのコンビネーションが合わなかったりで3点目を奪うことはできず。東海大望洋MF吉井大晟(2年)が蹴りこんでくるセットプレーや相手のカウンターを阻止して快勝したものの、海田が「イージーなミスでカウンター食らったり、自分たちのせいで追い込まれている。そういうところを減らしていかないと上を目指していけない」と首を横に振ったように選手たちの表情はどこか晴れなかった。

 習志野は横山杯で強さを示して優勝。最終ライン中心に昨年からの主力を残すチームは横山杯で球際、運動量、切り替えの「3原則」を徹底し、決勝リーグ第2戦から八千代高とのファイナルまで3試合連続無失点で頂点に立って海外遠征の権利などを獲得した。砂金監督もひたむきに努力できるチームであることを認める習志野は特に守備の部分で他との差をつくっていたが、優勝後はどこか気の緩みも見られたという。またフィジカル強化期間のために試合で動きのキレを欠き、そして主力CB木村将己(2年)を負傷で欠くと今月16日、17日のジャパンユースPUMAサッカーリーグでは徳島市立高に0-5、東山高にも0-4で完敗。また一週間前の23日に行われた千葉北高との新人戦初戦も先制されて苦しみながらも2-1で逆転勝ちと「(横山杯の)あの感じがないんすよ、もう。安定していなんです」(砂金伸監督)、「3原則の意識はしているんですけど上がってはいないですね」(海田)という戦いが続いていた。

 それでも危機感が増したチームは24日の強豪・川崎F U-18相手に2-2で引き分け。そしてこの日も満足のいく内容ではなかったものの、無失点で試合を終えた。まだまだ流れの中からの得点が少ないが、さすがに守りは堅く、攻撃陣の顔ぶれも多彩で力はある。また横山杯後に続いた苦戦によって強くないことを自覚したチームはひたむきに自分たちの武器を磨くことに集中することができている。砂金監督は「結果に満足しないで、やることいっぱいあると思って日頃の積み上げができたら(昨年からの)経験もあるし、少し面白いチームになっていってくれたらいい」と期待。また海田は「3月になれば県リーグとかも開幕するので、完成とまではいかないですけど、もっと勢い持ったチームになれるように。一人ひとりのストロングポイントを活かせるように練習から意識していきたい」と力を込めた。そして井上は「(目標は県2部リーグから)県1部に上げることとカップ戦も下克上を起こしたいなと思います」。市立船橋高と流通経済大柏高、八千代高などが名を連ねる激戦区・千葉。伝統校・習志野が日頃のトレーニングから積み上げてその厳しい戦いを勝ち抜く力を身につける。

[写真]前半アディショナルタイム、習志野は井上のゴールで先制

(取材・文 吉田太郎)

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