beacon

[新人戦]「昨年よりもチーム力を上げて、次の年に挑む」テーマの神戸弘陵、チーム力上げてプレミアリーグ初挑戦

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.31 兵庫県高校新人大会3回戦 神戸弘陵高 2-0 芦屋学園高 赤穂海浜スポーツセンター]

 平成27年度兵庫県高校新人サッカー大会が31日に行われ、昨年度の選手権代表となった神戸弘陵高芦屋学園高が対戦した。昨年の選手権予選の決勝でも相まみえた両校による一戦は前後半に1点ずつ奪った神戸弘陵が2-0で勝利し、準々決勝(対関西学院高)へ駒を進めた。

 新人戦で2連覇中の神戸弘陵だが、10-0で大勝した前日の洲本高戦からスタメンの多くが代わったこともあり、立ち上がりはプレーの呼吸が合わず、効果的な攻撃が出来ない場面が続いた。それでも23分に中央をドリブルで仕掛けたMF上月翔聖のスルーパスからFW本庄啓太がフリーでPAに抜け出す。これは素早く反応したGK本山永輝に阻まれたが、25分にも再びチャンスを作り出す。高い位置で本庄がつぶれたこぼれ球をFW木野剛基が拾ってPA右へ。走り込んだMF渡辺一也の折り返しが芦屋学園DFをすり抜け、ゴール前にボールが渡ると、木野が冷静にゴールネットを揺らしたが、渡辺がオフサイドの判定を受けて得点は認められない。流れは決して良くはなく、ベンチの谷純一監督から「前半の間にうちに立て直せ」と檄が飛ぶような展開だったが、神戸弘陵は前半のうちにゴールを奪う。28分に木野がPA手前で得たFKを自らゴール右下に沈めて試合を動かした。

 対する芦屋学園は相手に押される時間が長かったものの、「強引にでもシュートを打て。打ったらチャンスがあるぞ」という許泰萬監督の指示通り、攻撃の姿勢は崩さず。失点直後にはMF西村大輝がこの試合初めてシュートを放つ。遠目からの一撃だったが、クロスバーを直撃し、神戸弘陵を脅かすことに成功して前半を終えた。

 後半3分にもMF松尾佑真のFKからMF中川和保がシュートを狙うなど芦屋学園の見せ場が続いたが、「前半もっと出来たけど、ハーフタイムに皆で話し合って、良い部分が増えた」(MF野中新史)と以降は神戸弘陵が立て直しに成功した。10分に上月が右前方にロングフィードを通すと、走り込んだ渡辺がゴール前に速いボールを展開。走り込んだ本庄がダイレクトで合わせて、追加点を奪った。

 2点のビハインドを背負った芦屋学園は「昨日の(U-23)代表も0-2から逆転したぞ」と許監督の指示がピッチに響く。またMF内田拓海とFW中辻聡磨を投入することで、前線の枚数を増やして反撃に出たが、谷滉人と木村俊文の神戸弘陵のCBコンビに跳ね返され、決定機が作れず。14分には神戸弘陵が中央でのボール回しから左サイドに転じ、MF余田凌大へ。反対サイドのDF多田勇慈郎がゴール前で反応したが、わずかに合わない。このまま、2-0で試合を終えた神戸弘陵の谷監督は「コンビネーションはまだ合わせていないので、ずれている部分があったけど、それぞれ持ち味は出してくれたので、良かった」と口にした。

 谷監督が就任10年目の節目を迎えた昨年は、プリンスリーグ関西で初優勝。プレミアリーグ参入戦も勝ち抜いて念願のプレミアリーグ昇格を決めた。選手権でもベスト16まで進出。チームが毎年、掲げる「昨年よりもチーム力を上げて、次の年に挑む」というテーマは年々、難易度を増しているが、「年々、高くなる目標と期待に応えられるように頑張りたい」とMF野中新史は意気込む。ただガムシャラにやるのではなく、プレミアへの挑戦に向けての準備も進んでいる。これまではポゼッションで中央を崩す攻撃が主流だったが、今年はサイド攻撃と背後への飛び出しを増やすことで、攻撃の幅を広げていくという。この日も新たな可能性を感じる場面もあり、「昨年は強さがあったから良い結果を残せたけど、今年はパスサッカーを徹底したい。全体が動いてパスを受ける、サイドがきっちりクロスを上げて、前の選手がきっちり決める。この形がハマれば、今年も強いチームなっていける」(野中新)。年々、激しさを増す選手間競争も追い風にし、まずはノルマと言える新人戦優勝を達成して弾みをつけたいところだ。

 一方の芦屋学園は、敗れたものの「うちの子どもたちは毎日、限界を超えている。いつも、持っている力を150%くらい出して、何とかしている」と許監督が口にしたように奮闘が目を惹いた。系列の大学が強化を始めるにあたり、高校もサッカー部の強化を開始したものの、許監督が就任した2年前は部員10人でのスタート。選抜経験を持つ選手は皆無だったが、「勝負にこだわる」(許監督)姿勢を植え付け、昨年は早速、選手権予選の決勝まで進んだ。だが、ここでは神戸弘陵に終始圧倒され、放ったシュートはわずか1本のみ。0-2というスコア以上に差を痛感する一戦だったが、この日は同じスコアながらもシュート本数を3本に増やし、中には相手を脅かす場面もあり、許監督は「勝負だから、勝たないといけないけど、子どもたちを責められない。負けて悔しいという勝負人としての気持ち半分、彼らの力を分かっているので称えたい気持ちが半分」と口にした。

[写真]直接FKを決めて、笑顔を見せる神戸弘陵MF木野

(取材・文 森田将義)

TOP