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[新人戦]進学校・高崎に追い詰められるも、前橋育英が後半AT2発で群馬決勝進出!

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[2.6 群馬県高校新人大会準決勝 前橋育英高 2-1 高崎高 群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場]

 平成27年度群馬県高校サッカー新人大会は6日に準決勝を行い、1月の全国高校選手権8強の前橋育英高高崎高との一戦は、前橋育英が0-1で迎えた後半アディショナルタイムにFW人見大地(2年)とMF高沢颯(2年)が決めたゴールによって2-1で逆転勝ち。前橋育英は7日の決勝で桐生一高と戦う。

 97年の全国高校総体で8強入りした歴史を持つ県立の進学校、高崎に苦しめられた。相手の守りをこじ開けることができず、焦りが見えた終盤はミスも目立ったが、それでも前橋育英は底力を見せつけて逆転勝ち。群馬の名門がさすがの勝ちっぷりで優勝へ王手を懸けた。

 後半アディショナルタイム突入後の42分、前橋育英は右サイドから逆サイドへサイドチェンジすると交代出場FW五十嵐理人(1年)の落としから左SB渡邊泰基(1年)が左足クロス。放物線の先にいた交代出場FW人見が頭で同点ゴールを押し込むと、44分にはMF大塚諒主将(2年)の強烈な右足シュートのこぼれ球を最後は交代出場MF高沢が左足で押し込んで勝負を決めた。

 高沢は「はじめに点取られても、まだいい展開とかあったんですけど、自分のシュートとかが外れたりして苦しい試合にしてしまった。1点取れてから少しこっちに流れが来て、きょうは勝てて良かったと思います」とホッとした表情を見せ、大塚は「決めるべきところで決めれないところがあって、ビハインドしていた中で慌てる部分が多かった。後半の最後になるにつれて慌てていっちゃっていたけれど、きょうは点が取れたことが一番かなと思います」。課題を口にしていたが、苦しみながらも最後得点できたことについてはとても前向きだった。

 立ち上がりは高崎がプッシュしたものの、その時間帯を過ぎると前橋育英がペースを握った。仕掛けのパスが効果的だったMF塩澤隼人(1年)と泥臭い動きでチームを牽引する大塚のダブルボランチを中心にサイドチェンジを交えながら幅のある攻撃。そしてサイドへ開いたCBに押し出される格好で縦へ攻め上がる右SB長澤昂輝(2年)と左SB渡邊がチャンスをつくり出す。また山田耕介監督が「(動きが)シャープ。期待しています」という1年生FW飯島陸がCBからの縦パスを見事に引き出し、2度3度とビッグチャンスを生み出した。

 前橋育英が分厚い攻撃でゴールへ迫った一方、OBである吉田卓弥監督就任2年目の高崎は怪我明けの主軸MF多田健輔主将(2年)が不在だったが、高いDFラインが前橋育英の攻撃を必死に食い止める。そして背後を狙われて決定機を作られてもトップレベルで文武両道を体現するCB長岡岳博(2年)やゲームキャプテンのCB関口海(2年)が最後の局面で必死のブロック。逆に15分、速攻からMF三木大輔(2年)が放った左クロスがチャンスになるなど前橋育英に対抗する。迎えた32分、高崎は右サイドで三木とパス交換した右SB齋藤遥平(2年)がDFのマークを外してクロスを上げきると、FW山中享太(2年)が右足ダイレクトで先制点を叩き込んだ。

 前橋育英は36分に渡邊の左アーリークロスがDF頭上を越えてファーサイドへ到達するが、GKと1対1になった高沢の右足シュートは高崎GK坂本瑞貴(2年)がビッグセーブ。前半4分の1対1を阻むなどこの日好守を連発していた坂本は、37分にも飯島の決定的なシュートを阻止して前半を1-0で折り返す原動力となった。だが高崎にアクシデント。後半9分、自陣で相手MFと競り合ったMF宮澤達也(2年)が頭部をカットしてしまう。10番MF高橋翔太(2年)とともに中盤中央の位置で健闘光っていたMFはプレー不可能な状態ではなかったというが、高崎の選手、指揮官の選択は「(新人戦でもあるので)我慢して経験」。無理せず交代させることを選択した高崎は前橋育英の左サイド中心の攻撃に得点機もつくられたが、DFラインをよくカバーしていた長岡らが踏ん張り1点を許さない。今年、全国高校総体出場を本気で狙っている高崎は「きょうのゲームよりも(1-4で前橋育英に敗れた)選手権の方が良かった。きょうはこんなに相手は繋げてこっちは繋げないのかと思った」(吉田監督)というように、決して内容が良かった訳ではないが粘り強い守りで名門を苦しめる。だが、5分間が表示された後半アディショナルタイムに前橋育英が追いつき、試合をひっくり返した。

 伝統校の意地、勝負強さを発揮した前橋育英。一昨年度の全国高校選手権で準優勝し、昨年度も8強入りしたが、わずかな差で準決勝進出を逃し、プリンスリーグ関東2位として出場したプレミアリーグ参入戦も敗れて高校年代最高峰のリーグ戦・プレミアリーグで戦う権利を掴むことができなかった。山田監督が「伸びしろはあると思います」と期待する今年、厚い選手層を誇る前橋育英は登録されている25名、それ以上の選手たちが激しい競争を繰り広げる中で、どのように成長を遂げていくか。大塚は「連係という部分ではまとまっているというのはあると思う。でも個々の能力がないのでチームでやっていかないといけない。そこはみんなで声出しながらやっていきたい。今年はパスメインになるので距離感とか分かっていけば(攻撃もより)上手くなっていくと思う」と語った。

 目標を実現し、悔いの残らないような一年にすること。大塚は「去年の3年生(が涙する姿)を見ている。悔いが残らないようにやりたい。『オレらを越せよ』というメッセージは頂いているので、先輩の気持ちも受け継ぎながら上を目指していきたい」と語り、高沢は「自分たちが強くなるために練習とかキツイですけれどみんなで気持ち上げてやって上をどんどん目指してやっていきたい」と誓った。新生・タイガー軍団の目標は昨年越え。まずは昨年準優勝の新人戦で頂点に立つ。

[写真]後半アディショナルタイム、前橋育英は高沢(右)の決勝点によって逆転勝ち

(取材・文 吉田太郎)

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